三戸のオショロ流し 国指定重要無形民俗文化財に 市内では「チャッキラコ」に続いて2件目
神奈川県指定無形民俗文化財の「三戸のオショロ流し」が、新たに国の重要無形民俗文化財に指定された。三浦市の国指定重要無形民俗文化財は、一昨年ユネスコの無形文化遺産に登録された「チャッキラコ」に続いて2件目となる。
「三戸のオショロ流し」の国重要無形民俗文化財指定は、1月21日に開かれた国の文化審議会(会長・西原鈴子元東京女子大学教授)の審議・決議を経て、文部科学大臣に答申されたもの。同行事は、これまで昭和43年に市指定重要文化財(無形文化財民俗資料)に、同53年に県民俗文化財に指定されている。
「三戸のオショロ流し」は、市内初声町三戸に伝わる盆の精霊送り行事で、現在は三戸お精霊流し保存会が中心となり受け継がれている。
毎年8月16日に神田、北、谷戸上の三つの地区ごとに行われ、8月13日に盆棚を設けて各家が迎えた祖先の霊を、16日の早朝、オショロブネと呼ばれる大きな藁船に乗せ、三戸海岸から集団で送り出す行事で、「セイトッコ」と呼ばれる少年たちの年齢集団によって伝承されてきた。
「セイトッコ」は、小学校1年生から中学3年生までの男子で構成され、大将や親方と呼ばれる最年長の子どもが行事の中の中心的役割を担う。盆の期間中、地区の家々が年番制で務め、ヤド(宿)に集まって船飾りの製作などを行い、16日の深夜には墓地を回って供物を集める。
16日の早朝には、三戸海岸でオショロブネが作られ、5色の旗などで華やかに飾りつけ供物が乗せられると、「セイトッコ」が海に入り、泳ぎながらオショロブネを沖近くまで曳いていき、祖先の霊を海の彼方に送る。
年齢による役割分担の伝承にも注目
日本の年中行事で、盆は正月とともに重要な節目にあたり、祖先の霊を迎え、送る行事が各地に伝承されている。その中で「三戸のオショロ流し」は、祖先の霊を船に託して送る船流しの形態をとる盆行事の典型的な例と考えられ、大きな精霊船を用いた集団的精霊送りの行事としても注目される。
さらに「セイトッコ」と呼ばれる年齢集団によって行事が伝承されてきたことは地域的な特色であり、少子化が進む近年において、年齢によって振り分けられた役割分担を残しており、日本の年中行事や民間信仰を理解する上で重要との評価を受けている。
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