例年、暖かな春の気配とともに蕾(つぼみ)がほころび出す三浦海岸の河津桜。昨年秋から続いた暖冬の影響で、今年は早くも開花が始まっている。城ヶ島の八重水仙もまもなく見頃を迎えるほか、特産品の大根の生産にも大きな打撃を与えるなど市内でも影響が広がっている。
まだ正月気分の残る今月上旬、桃色の可憐な花をつけているのは、京浜急行「三浦海岸駅」から小松ヶ池公園までの線路沿いの河津桜。地域活性化を目的に地元有志グループ「三浦海岸まちなみ事業協議会」が植え始めたことがはじまりで、今では約1000本が立ち並んでいる。極めて早咲きの個体を除き、同地では毎年2月中旬〜3月中旬頃に盛りを迎えるのが通例で、一足早く春の訪れを感じられると、シーズン期間中には県内外から30万人を超える見物客で大いに賑わう。
今シーズンは昨秋からの暖冬の影響を受けて、それぞれの木々で数輪ずつ開花。三浦市観光協会の担当者は「咲き始めは半月ほど早いのではないか」と話す。来月13日(土)〜3月13日(日)には毎年恒例の「第14回三浦海岸桜まつり」(同運営委員会の主催)が行われるが、現時点ではイベントの前倒しなど内容の見直しは考えておらず、今は静かに状況を見守っている。
およそ30万株の八重水仙が咲き乱れる県立城ヶ島公園でも、1週間〜10日ほど早く見頃を迎えた。同園の管理者によると、通常八重水仙の開花は12月中旬頃から徐々に始まるが、「早いものでは昨年の11月末頃から花がつき始めているのを確認した」という。日当たりによって咲き具合にバラつきはあるが、現在は6分咲き程度。見物客の出足も例年より早く、天候に恵まれた今月9日〜11日の三連休には多くの人が来園し、周囲を包む甘い香りを楽しんでいた。都内在住で水仙を目当てに毎年城ヶ島を訪れているという女性は「今年は特に早いと思う」と驚きの表情で話していた。
横浜地方気象台の統計によると、三浦市の昨年11月の平均気温は14・5度(平年差1・1度)、12月は10・6度(平年差1・6度)、今月上旬は9・9度(平年差3・0度)。西高東低の冬型の気圧配置が続きにくかったことから平年に比べて気温が高くなり、記録的な暖冬をもたらしたとみられている。
特産直撃に悲鳴
暖冬は農作物にも深刻な影響を与えている。冬が旬の大根は、急激に生育が進み出荷量が増加。値崩れが起きたほか、多くの農家では肥大化して流通に適さない規格外品の大量廃棄を余儀なくされている。三浦の特産品を脅かす死活問題に、生産者は加工品製造や直売所出荷、飲食店との直接契約など知恵を絞り、消費拡大の理解を呼び掛けている。
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