振り込め詐欺被害など、電話による特殊詐欺を防ごうと音声でATM利用者に注意を呼びかける防犯啓発装置が、三浦市内に店舗を持つ銀行と信用金庫に設置された。三崎警察署の要請で趣旨に賛同した4金融機関が導入。同署の田中稔署長は「一言が気づきとなり、犯罪抑止につながると大いに期待している」と話した。
今回設置されたのは、「せっと君」と呼ばれる音声注意喚起機器。市内4金融機関、8つの有人支店のATM(現金自動預払機)コーナーに設置されている。人が近づくとセンサーで感知し、「警察からのお知らせです。お金を引き下ろす前に少し聞いてください」「お金を使い込んだと言われていませんか」などのガイダンスを自動で流す。神奈川県内では今年5月に川崎市の高津警察署管内で導入されているが、市内全域の金融機関が一斉に購入し、取り入れるのは今回が初めてだという。
「4者とも日ごろの予防意識は高く、行員の声掛けの強化などで被害を食い止めてきた」と話すのは横浜銀行三崎支店の吉野哲支店長。しかし、窓口が閉まった午後3時以降の来店や人目のつきにくいATMへ誘導するなど近年手口が巧妙化していると言い、こうしたケースにおける抑止力にしたい考えだ。
三崎署生活安全課によると今年管内で発生した特殊詐欺は6件(8月21日現在)。オレオレ詐欺が4件、架空請求1件、還付金1件で被害金額は合計で約540万円になる。これは去年の倍近いペースで増えており、被害者のほとんどが高齢者。前兆電話とみられるものや認知されていない事案も含めると件数は大幅に増加しており、同署は「高齢化率の高い三浦では対策を怠らず、警戒を続けたい」と話している。
被害額は50億円にも
県内の特殊詐欺認知件数は2013年以降、毎年1000件超。36〜50億円にのぼる被害が報告されており、今年は既遂未遂含めて737件(速報値)。
三崎署は「再び典型的なオレオレ詐欺が増えている。不審な電話には出ない。家族や知人、警察へ相談するなどして意識を高めてほしい」と呼び掛けている。
こうした状況を踏まえ、県内では様々な抑止活動を展開。イベントやチラシによる啓発のほか、近隣の横須賀市や逗子市では暑中・残暑見舞いはがき「かもめーる」の配達キャンペーンなどが行われている。
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