多摩市教育委員会は10月1日から、3D仮想空間「多摩市フレキシスクールOnline」を活用した不登校児童生徒の支援を開始した。タブレット端末を使用した仮想空間で相談や交流、学習支援などを行い、新たな居場所を提供することで不登校のさらなる対策につなげる狙いがある。
タブレット端末活用
市教委が不登校対策に導入したフレキシスクールは、都教育委員会が構築したオンライン上の3D仮想空間(ヴァーチャル・ラーニング・プラットフォーム)を活用し、家庭訪問や適応教室といった従来の現実世界の支援に加えて行うもの。
学校や関係機関とのつながりが途切れがちな不登校児童生徒に、市が提供するアカウントで自宅などからタブレット端末を利用してアクセスし、入室が可能になる。
仮想空間では、明星大学心理学部の大学院生への相談(毎週水・木曜日、午後1時〜4時)や、児童生徒同士の交流、星槎国際高等学校の教員による授業・ソーシャルスキルトレーニング(毎週月曜、午後3時〜5時)をすることができる。また、都が導入した民間企業のオンライン学習支援ソフト「デキタス」などの利用(24時間)ができ、昼夜逆転している児童生徒にも対応している。
利用呼びかけ
入室できるのは、学校関係者や支援者のほか、不登校児童生徒とその保護者、日本語を学びたい外国籍の児童生徒が入る場所もある。市教委によると開始してから一週間ほどで、12人の児童生徒が入室しているという。しかし、現在把握している不登校児童生徒は約80人おり、利用を呼びかけている。
様々なメリットも
全国的に不登校の児童生徒は増加傾向にあり、市教委では一層の対策が必要としている。千葉正法市教育長は「義務教育の段階でどこにもアクセスできない子が一定数いる。仮想空間では相談員も支援者もおり見守ってくれる。安心して利用してほしい」と話す。また、「教育現場にいる教師の負担軽減や将来オンラインを活用する機会が増える大学院生の技術向上も図れる」として様々な面でメリットがあるとしている。
市教委の担当者は「すでに毎日入室している子どももいる。自分の気持ちを理解してもらえたり、ほめられたという体験を得ることで、自信につながってくれれば」と話している。
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