日本の良さを肌で感じた旅 日本一周歩き旅
日本を歩いて一周する旅にチャレンジしている人がいる。市内初声町に住む市川秀行さん(61)だ。2010年からスタート。歩きやすい春と秋の季節に絞り、チャレンジを続けている。歩いた距離は約5000Km。残すは、山形県の日本海側約200Kmと岩手県のリアス式海岸約400Km。4・5月中の完歩を目指している。
歩く旅だからこその発見も
市川さんは、10代は自転車、20代は車で日本全国を回った。子育てを終えて50代になり、イタリアを自転車で回ったことも。「サラリーマンは仮の姿。本業は冒険家」と豪語するほど旅好き。会社をリタイアし、50代後半、成し遂げていない日本一周の歩き旅を計画し実行した。
スタートは北海道層雲峡幾度の足の故障も
紅葉前線を追いかけるように歩こうと、2010年9月12日、層雲峡をスタート。青森駅から本庄駅、富山駅から丹後を歩いた。11年は、甲州から中仙道・南房総、鹿児島から浜松。12年は鴨川から銚子、伊豆下田から浜松、鹿児島から出水、富山から新潟、京丹後から長崎を歩いた。ルートは、歩きやすい国道や県道を選んでいる。
途中、3度の足の故障や怪我に遭うアクシデントも。「痛みでスピードが落ち、当初の計画通りに進めない悔しさのほうが大きかった」と振り返る。
テーマを掲げて歩く
今回の旅では、各地の山や風景、街並み、建物、郷土料理など地域の特色を記録にすることを掲げた。中には、マンホールに描かれている絵というユニークなテーマも。「花や鳥などが多いなか、鳥取県の北栄町で見つけた、すいかと大砲の組み合わせには、すかさずシャッターを切った」。カラーで描かれたマンホールもあったとか。「車だと見逃してしまうことが、歩き旅だと気づくことが多い」。
風や雰囲気を肌で感じ取ることができるのも歩き旅ならでは。日本の素晴らしさはもちろん、海や山、川といった自然の豊かさを実感することができた。「特に伊豆の西海岸は印象深い。海、空、富士山、木々と自然の美しさがまとめて目に飛び込んできた。1カ所でこれだけ贅沢な景色を見ることができる場所は少ないと思う」―。今でも、その光景が目に焼きついているという。
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1日12時間歩いて、8時間の睡眠。残り時間は食事や日々の走行記録に費やすなどタイトな旅。手帳には毎日歩いた距離や歩数、日々の食事メニューなどが細かく記録されている。この旅で撮った写真は約1万5千枚にも及ぶ。「旅は行って終わりではない。記録に残すことも大事。それを見返して思い出すと旅に深みが出る。行って帰ってきて、旅が2度楽しめる」と笑顔を見せる。
日本一周の旅も、あと600Kmを残すのみ。「まずは完歩すること。そしてこの歩き旅の総集編を作ること」と、計画表を眺める目は輝きを増している。
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