パステル画の先駆者と言われる横須賀出身の画家・矢崎千代二の回顧展「絵の旅」が横須賀美術館(鴨居4の1)で行われている。横須賀市では同館の開設前から特集展示を行っており、今回の企画展は没後最大、150点からその画業を辿る内容。会期は12月24日(月)まで。
明るい色調と光をまとった淡いグラデーション―。粉末状の顔料を固めた「パステル」を用いて、鮮やかな風景画を多く残した矢崎千代二(1872―1947)。汐入で生まれ、東京美術学校では黒田清輝に師事。明治末期は洋画家として出展を重ねた。40歳半ばで「色の速写」の可能性や発色に優れたパステル画に転向。油彩のように水や油を携える必要もないという持ち運びやすさもあり、欧州や中国、インド、南米など世界各地を訪れ、その場で写生する旅を続けた。さらに「日本の風景を描くならば、風土に合った色揃えが必要」という想いを抱き、国内産パステルの製造も働きかけた。その後、日本パステル画会の創設にも参加し、普及や後進の指導に尽力した。
晩年は北京の美術学校で教鞭をとり、現地に約1000点ものパステル画を寄贈したという。
没後最大規模の展示
同市内では、1987年に市制80年を記念事業として回顧展を行ったほか、2010年の横須賀美術館所蔵品展では、その前年に見つかった油彩「秋の園」が初展示されている。今回の企画展は、これら近年の研究成果を集約し、改めて地域ゆかりの作家を紹介する没後最大のもの。パステル独特の色彩で描かれた世界各国の風景画のほか、油彩作品も含めた約150点が一堂に会する。
詳細は同館【電話】046・845・1211
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