”実物”の「大きさ」はどのくらいなのか―。科学の進化とメディアの発達で、私たちは「物を見る」ことに関して、縮小や拡大が可能な時代を歩んでいる。例えば、目に見えない最小の物質や遠く離れた宇宙―。拡縮により、知の世界を広げることが可能になった。アーティストにとっても、その「スケール」は作品コンセプトに大きく影響を与えている。
横須賀美術館で今月13日から始まった企画展は、「縮小/拡大する美術 センス・オブ・スケール展」。現代美術を中心に、11組に焦点を当てた。馴染みの風景や事物など、表現と拡縮の関係性に触れながら、「スケールの旅」が楽しめる。
斬新な「見立て」も
精密な縮小模型から巨大なオブジェ、広範囲の世界をとらえた写真や絵画、異なる縮尺が存在するインスタレーションなど多彩な作品が並ぶ。
このほか、「拡大」の技術による科学的な研究に注目しているのも大きな特徴。「大きく見る技術」が貴重な発見へとつながり、新たな世界の扉を開いた。同展ではプロローグとして3人を紹介。国産初の反射望遠鏡を生み出し、月面や太陽のスケッチを残した国友一貫斎(1778-1840)、生命の最小単位である細胞を「セル」と名付け、精緻なスケッチの「顕微鏡図譜」を出版したロバート・フック(1635-1703)、雪の結晶を研究し、顕微鏡で3000点以上の写真を撮ってまとめた中谷宇吉郎(1900-62)を取り上げる。
同展の会期は6月23日(日)まで、5月13日(月)と6月3日(月)は休館。チケットは一般900円、高大・65歳以上700円、中学生以下無料。
アーティストトークも
会期中、同展に出品している作家が来館。製作意図などを聞くことができる。▽5月19日(日)午前11時〜高橋勝美/午後1時〜高田安規子・政子×沢山遼(美術批評家)、いずれも会場は同館ワークショップ室、企画展示室。参加無料(要企画展観覧券)、事前申し込みは不要。
詳細は同館【電話】046・845・1211
【出品作家】岩崎貴宏、国友一貫斎、鈴木康広、高田安規子・政子、高橋勝美、田中達也、中谷宇吉郎、野村仁、平町公、ロバート・フック、松江泰治(敬称略)
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