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三浦版 公開:2022年9月23日 エリアトップへ

今も残る風習「お月見泥棒」 矢作で日本版ハロウィン十五夜に菓子もらう子ども

文化

公開:2022年9月23日

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 一年を通して最も美しいとされる「中秋の名月」を眺める「十五夜」。今年は9月10日だった。一般的には、秋の収穫物を供え、その実りに感謝する行事として親しまれているが、矢作地区では「お月見泥棒」と呼ばれるユニークな風習が、古来より受け継がれている。

 十五夜の習わしは、中国から伝わり、日本では平安時代に広まったと言われている。当時の貴族たちは、見上げる月明かりに照らされながら、酒を酌み交わしたり、詩歌を詠んだりして、秋の夜長を楽しんだそうだ。江戸時代になると、庶民の間でも実りの象徴として満月を鑑賞し、ススキや米で作った団子を月に見立てて供え、収穫の感謝と次の年の豊作を祈願するようになった。

 月見を満喫していたのは、何も大人だけではない。かつて子どもは「月からの使者」とされ、それぞれの家に供えられた食べ物を好きに盗むことができる「お月見泥棒」という風習もあった。子どもに食べてもらうと、縁起が良いとされた。日本版ハロウィンのようだが、今も行っている地域は少なくなった。

寺院に響く掛け声

 「じゅーごやまーんじゅーけーらっせ(十五夜饅頭下さいな)」

 青みを帯びた月の光が静かに流れ込む午後5時。円徳寺(和田)の境内に、子どもたちの掛け声が響き渡った。「はいどうぞ」。本堂の前に用意された菓子やジュースを持参した袋に詰め、自宅に持ち帰っていった。

 幼少期の村山智洋住職もお月見泥棒を経験した一人。「年の近い子どもだけで暗くなった道を走り回るのがワクワクして、袋一杯にお気に入りのお菓子を詰めてね。大人とコミュニケーションを図るイベントでもあった」と懐かしむ。

 昔は近所に70軒以上も菓子を用意する家があったが、近年は20軒ほどに縮小。コロナ禍でさらに減ったため、子ども会が中心となって同寺のみに集約した。この日訪れたのは、約10人の子どもたち。「良い文化は残していきたい」。若き日の自身の姿と重ねるように、村山住職はを慈愛に満ちた眼差しで皆を見つめ、夜空には丸い月が煌々と輝いていた=写真上。

 十五夜に続く月として旧暦の9月13日、今年は10月8日(土)にあたる「十三夜」にも同様の催しが開かれるという。

円徳寺の本堂前で村山住職から菓子やジュースを受け取る子どもたち
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