2012年新春対談 震災の教訓を活かした防災対策を 市民から寄せられた義援金約6500万円は日赤を通じ被災地へ
今年度3期目の舵取りを担うこととなった服部信明茅ヶ崎市長。本紙では年頭の特別企画として服部市長と対談を行い、2012年の抱負、そして市の重点施策などについて聞いた。
(インタビュー/茅ヶ崎編集室 小室裕司)
新津波ハザードマップ早期作成へ
――あけましておめでとうございます。昨年は3・11の大地震や選挙などがあり大変忙しい1年となりましたが改めて振り返っていかがですか?
「昨年は東日本大震災の発生により防災について考えをあらたにする1年となりました。本市においても津波対策や市の初動体制など課題が山積していることが判明いたしましたので「茅ヶ崎市防災対策強化実行計画」を策定し、これまでの防災対策の見直しと防災対策組織の機能強化に取り組んでおります。
市長選挙では、多くの皆様の支持を得て3期目を務めさせていただくことになりました。これまでの2期8年で取り組んできた事柄を踏まえて、これまで以上にスピード感をもって全力で市政に取り組み、市民の皆様の期待に応えてまいります」
――津波対策について詳しく聞かせてください
「3月11日に発生した巨大地震・津波によって、広域にわたり、甚大な被害がもたらされました。本市でも震度5弱を観測し、大津波警報に伴う避難者の受入れや帰宅困難者の受入れを行いました。
市では「茅ヶ崎市防災対策強化実行計画」の推進に向け全庁をあげて取り組みを進めているところですが、なかでも、津波に対する対策は早急に講じる必要があるため、津波ハザードマップの見直しに向け、神奈川県で進められている被害想定の見直し結果に基づいて、新たな津波ハザードマップを作成します。
また、マンションや高い建物を所有されている皆様のご理解・ご協力のもと、津波一時退避場所の確保を進めています。巨大津波については、まず少しでも標高の高い場所へ避難することが第一です。日ごろから避難場所や退避場所を知り、避難ルートも複数のルートを知っておくなど対策を講じておくこと、災害に備えておくことが重要です。
市としましても、ハザードマップや避難マニュアル等、市民の皆様が安心して暮らせるように防災情報の提供を行っていきますが、災害時の行動について、皆様も地域や家族で話し合っていただきたいと思います」
――地震以来、多くの寄付やボランティア活動が目立ちましたが
「市では、東日本大震災直後に、日本赤十字社茅ヶ崎支部として茅ヶ崎駅周辺で街頭募金を行い、2日間で約142万円の義援金が集まりました。募金にご協力いただいた多くの皆様からは「人ごとではない」、「困ったときはお互い様」といったお言葉をかけていただき、市民の皆様の被災地に対するあたたかいお気持ちが伝わってまいりました。
その後も継続して市の窓口を通じて受け付けた義援金が約6500万円に達し、日本赤十字社神奈川県支部を通じ被災地へお送りしております。市内の企業、団体、個人の皆様の被災地の復興に向けた継続的な支援に対して、深く感謝申し上げます。
また、市と市社会福祉協議会の協働で「災害救援ボランティアセンター」を3月22日より開設し、神奈川県と連携して個人からの支援物資の募集を行ったところ、当初の予想を超える多くの物資についてご協力をいただきました。
この他にも、市社会福祉協議会等が主体となって行った「災害復興支援ボランティア活動バスパック」を始め、多くの方々が現地に向かい様々な支援活動を展開されました。
さらに、復興支援のための様々な催しも開催されていて、市民の皆様のあたたかいお気持ちは被災地復興の大きな力になるであろうと感じております」
安全・安心のまちづくりを軸に
――市役所本庁舎の建て替え問題の進捗状況と見通しはいかがですか?
「市では、平成18年度から市役所本庁舎の再整備の検討をはじめ、平成20年3月に策定した「公共施設整備・再編計画」において建て替えを位置づけました。
こうした状況の中、東日本大震災の発生は自治体そのものが被災する、あるいは自治体全体が避難せざるを得ないというかつてない大きな被害をもたらし、全国の自治体に危機管理上の様々な課題をつきつけました。
そのため、市では、市民ワークショップ、市民説明会、パブリックコメントなどでいただいたご意見や被災地の現地視察の状況も参考にしながら、「茅ヶ崎市役 所新庁舎基本計画」を平成23年12月に策定しました。この計画は、東日本大震災の検証結果を踏まえ、防災拠点として初動体制を確保し、被災者の支援、復 旧・復興活動のために必要となる防災対策も積極的に取り入れた市役所を目指すこととしており、平成24年3月から始まる基本設計段階の指針となる考え方を 示したものです。
今後、基本設計の段階で市民の目線から新庁舎に求められる様々な機能についてご意見やアイデアをいただく「(仮称)茅ヶ崎市役所新庁舎基本設計市民ワークショップ」の開催も予定しておりますので、多くの市民の皆様のご参加をお待ちしています。
引き続き、より多くの市民の皆様のご意見やご提案を幅広くお伺いする機会を設けながら、平成27年度の完成を目指し、新庁舎建設事業を推進してまいります」
――今年4月に中海岸1丁目に茅ヶ崎市立中海岸保育園が開園します。特徴を教えてください。
「高砂緑地西側の高台に位置する、緑豊かな、また太陽に満ち溢れた保育環境の素晴らしい保育園です。地域集会施設の『高砂コミュニティセンター』との複合 施設として開設されるもので、定員は120人です。公設保育園ではありますが、運営は指定管理者制度を採り入れて、本市の保育事業では安定した実績のある 市内の社会福祉法人に担っていただくことになっています。
保育内容は、午前7時から午後6時までの通常の保育のほか、本市の初めての取り組みとなる午後6時以降の「2時間延長保育」、生後57日目からお預かりする「産休明け保育」を実施いたします。
また、保育園を利用されていない市内のすべての子育て家庭向けの保育メニューとして、週に2〜3日程度の短時間就労に対応する「特定保育」や、緊急または一時的な保育需要に対応する「一時預かり」を実施いたします。
あわせて、病気回復期のお子さまをお預かりする「病後児保育」を、保育園在園の有無を問わず広く市内小学校3年生までを対象にして本市で初めて実施いたします」
――長年の懸案となっている待機児童についての状況はどうですか?
「平成21年度から平成23年度までの3年間に、民間保育園3園の新設、2園の定員増を伴う増改築を行い、保育園の受け入れ枠を220人増やしてまいりま したが、待機児童数は、平成21年4月1日は410人、平成23年4月1日では421人となっており、待機は解消されていない状況です。
そうした中で、さきほど話しのあった中海岸保育園は、待機児童の解消に大きな効果があるものと期待しております。
平成24年度中には、この施設のほかに、民間保育園2園の新設、2園の定員増を伴う建て替え及び改築により、年度内に中海岸保育園とあわせて合計284人 の定員枠の拡大が図れる見込みです。市では今後も積極的に定員枠の拡大に取り組み、待機児童の解消に努めてまいります」
――昨年は「川上音二郎没後100年・貞奴生誕140年」を記念した市民ぐるみのイベントで盛り上がりました。茅ヶ崎ゆかりの文化振興についてのお考えはどうですか。
「この事業の構想は、2年ほど前に美術館の小川館長からの提案を受けたものです。音二郎・貞奴が高砂緑地に住んでいたという一つの事実から、実にさまざま な歴史が掘り起こされました。この記念事業が成功に終わったのは、音二郎・貞奴の生き方に魅せられた市民の方々で結成された実行委員会の取り組みに対する 熱意が大きな要因だと思います。
川上音二郎と貞奴がテーマといっても、二人を取り巻く時代背景、ゆかりの地との連携などいろいろな切り口で考えられ趣向をこらした事業展開ができました。
茅ヶ崎市には、文化資源がまだまだたくさんあります。このまちにどのような文化資源があるのかを知っていただきたいし、掘り起こして顕彰していくことも必要でしょう。そのような取り組みを市民の皆様のお力をいただきながら、ともに進めていきたいと思っています」
――最後に、茅ヶ崎市民に向けてメッセージをお願いします。
「今年は、茅ヶ崎市総合計画の第一次実施計画の2年目を迎えるとともに、平成25〜27年度の事業を位置づける第二次実施計画(案)の策定作業を進めてまいります。
さらに、本年は総合計画の基軸である『新しい公共の形成』に向けた取り組みや、安全・安心なまちづくりに欠くことのできない事業を積極的に進めてまいります。皆様のより一層のご理解とご協力をお願いいたします。
本年も皆様にとりまして素晴らしい年となりますようご祈念申し上げ、新春のメッセージといたします」
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