茅ヶ崎市文化資料館 おうちでミュージアム 連載Vol.17
染 付 便 器
トイレは、私たちが暮らしていく上でとても大切なものです。歴史は古く、日本では約5500年前の遺跡からトイレと考えられる場所が見つかっています。長い時間をかけて現在の清潔で便利なトイレが生まれました。
19世紀後半に発生した濃尾大震災(1891年)の復興を契機に現在の愛知県の瀬戸や常滑で陶器の便器が作られるようになり、板や桶などの木製の便器にとってかわっていきました。
陶器の便器が全国的に普及したのは、明治時代の後半に入ってからといわれています。特に、明治から大正時代にかけての便器は、染付や青磁など芸術性の高いものでした。
また、男性用の小便器は、木桶を用いた小便器の形を踏襲したものや、下側が細く上が広く開いた「朝顔」に似た形のものがありました。
今回紹介するのは、瀬戸の染付便器で、市内の民家で使用されていたものです。大正12年の関東大震災の後に設置されたものと推察されます。
暮らしに欠かせないトイレの歴史を紐解いていくことで、先人の知恵と生活の変遷を垣間見ることができるのは非常に興味深いです。
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