開高健記念館 書斎からの景色保存 作家が愛した林 市が購入へ
茅ヶ崎市は、開高健記念館(東海岸南6の6の64)に隣接している林の一部を購入するための資金として、「開高健記念館整備事業費」を盛り込んだ一般会計補正予算を現在会期中の定例市議会に提出した。
開高健は、「パニック」や「裸の王様」などで知られる芥川賞作家で、1974年(当時44歳)から1989年に亡くなるまで茅ヶ崎市東海岸南に住んでいた。
同記念館は、開高氏の書斎兼自宅で、同氏と牧羊子夫人の死後、親族から市に寄贈されたもの。
室内には、開高氏の関連資料などが展示されているほか、実際に生活を送っていた当時の状態に保たれており、生活の様子を見ることができる。
市生涯学習課によると、記念館の景観を守り、開高氏が見ていた景色を残すことと、文化施設と住宅地との間に一定のスペースを設けることを目的に、林を購入するという。
開高氏創作の源、後世へ
市議会へ補正予算案提出
開高健記念館の森敬子理事によると、開高氏は書斎から林を眺め、執筆活動をしていた。「今でも、春にはキレイな桜が見えるんですよ」と、その眺めは今も当時とほとんど変わらずに残されている。
執筆に使われていた机は、林に面した西側の窓に向けられており、開高氏は時折障子を開けて窓の外の景色を見ていたという。
1981年、開高氏は東京新聞に寄せたエッセイの中で「湘南の松林も週に、月に、年に剝がれていく。この五年間、わが家のすぐの周辺だけでも、四辺のうち二辺は緑蔭を剝ぎとられてしまい―」と記している。
森さんは「このエッセイからも分かるとおり、開高氏は自宅周辺の林が減少していくことを寂しく感じていた様です。きっと、大好きな景色が守られることをとても喜んでいると思う」と話した。
購入費など補正予算提出
市が購入する土地は、開高健記念館の西側に面した200平方メートルの土地。市は5月末、この土地の開発計画を知り、保護のために6月から林購入に向けた交渉を重ねてきた。
現在会期中の定例市議会に開高健記念館整備事業費として、購入費や整備費5389万3千円を盛り込んだ一般会計補正予算を提出している。
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