2月15日(土)から茅ヶ崎市立図書館で、絵本をテーマにした木工細工の作品展を行う 齋藤 武久さん 矢畑在住 97歳
人の喜びを励みに
○…「より多くの人に作品を楽しんでもらえれば、これ以上の喜びはないね」。「ぐりとぐら」や「14ひきのねずみシリーズ」などの絵本の一場面を「手にした人が思わず笑顔になるような」可愛らしい木工細工で表現。今回の作品展では、数ある作品の内約20点を展示する。「縁あって今回の作品展を開けることになり、本当にありがたいことだね」
○…木工を始めたのは約7年前。最愛の妻を亡くした喪失感の中、娘の民子さんに「何か打ち込めるものを」と勧められたのがきっかけだ。丸太の熊のオブジェや木馬など大きめの物から始め、現在では日本の昔話や絵本の世界をテーマにした細工まで作品の幅を広げ、総作品数は400点以上。材料となる木の枝は、今年12歳の愛犬の柴犬・モモとの日課の散歩で調達している他「近所の人が庭の剪定後の枝を持ってきてくれることもあるよ」と笑顔。
○…名古屋に生まれ、11歳の時父を亡くし親戚のもとへ。そこは兄弟が多い家で「自分の食い扶持は自分で稼ぐこと」と教えられ、小学5年生で新聞配達を始めた。早朝と夕方の配達を続ける中「早く自立し、手に職を付けなければ」と中学卒業後は、町工場に住み込みで勤務。親方に付いて技術を取得し、77歳まで車の部品加工の鉄工の仕事一筋で、退職後娘夫婦の住む茅ヶ崎へ。木工は、鉄工で慣れ親しんだヤスリやドリル、彫刻刀を使い、庭先で丁寧に仕上げている。「木の扱いは鉄と違って木目があって難しかった」と当初を振り返るが、手先の器用さを生かし、今では「細部を作りこむのが楽しく、腕の見せ所だね」と誇らしげだ。
○…近年はひ孫や知り合いの子どもに作品を贈ることも多い。「自分の作品を手にした人に笑顔になってもらえると、次の作品を生み出す活力や励みになります」。作品展最終日の3月15日(土)には98歳の誕生日を迎え、これからも「命ある限り作り続けていきたいね」と意欲を見せた。
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