ノンフィクション『パラアスリート』を執筆した 山田 清機さん 浜須賀在住 56歳
突進あるのみ
○…「東京2020パラリンピック」の出場を目指すアスリートの横顔に迫り、1冊の本にまとめた。ノンフィクション作家としてこれまでに5冊の著書があるが、障がい者スポーツを題材にしたのは、今回が初めてだ。「そもそも『障がい』って何?どう接する?どう考えればいいの?」。アスリートへの取材を通して自問自答を続け、共生社会に向けたヒントを描いた。
○…「つらい経験をしている人にシンパシーを感じるんです」と語る背景には、フリーライターとして過ごした苦しい時期がある。大学卒業後に鉄鋼メーカーに勤務するも、組織に馴染めず1年半で退社。出版社を経て20代後半で思い切って独立。暮らしていたアパートの一室を事務所代わりに、ファクスを1台設置したまではよかったが、使う機会がなかなか訪れない。「仕事が何もなくて、昼ごはんが食パン1枚」と今では笑って話せるが、肉や魚を買うお金がなかったことから、成人男性としては稀なコレステロール値が“低い”と診断されたほどだ。
○…編集プロダクションなどをまわって売り込みを続けていくうちに、少しずつ仕事をもらえるように。独立から10年が過ぎる頃には経済誌での記事掲載も始まった。「大物経営者には冷や汗をかきながら取材しています」と話しつつも、今では作家としても活躍の場を広げている。
○…1年前、大好きなノンフィクション作家・開高健が過ごした茅ヶ崎に川崎から引っ越してきた。高校時代に汗を流した剣道を小学生の長男と楽しみ、55歳でデビューを飾ったサーフィンも目下奮闘中。「この歳でもまだひと踏ん張りしなきゃ」。今春には新書を発行予定で、日本三大ドヤ街のひとつ・横浜寿町で取材中だ。
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