新日本フィルハーモニー交響楽団の4代目音楽監督 上岡 敏之さん 浜見平出身 59歳
振るうタクトに波の面影
○…作曲者が音符に込めた思いを読み解き、緻密で立体的に構成された演奏は、観衆を魅了する。クラシックの本場ドイツのザールランド州立歌劇場やヴッパータール市立歌劇場の音楽総監督を歴任。2016年からは、小澤征爾を中心に結成された新日本フィルハーモニー交響楽団の第4代音楽監督を務めている。振るうタクトの原点には、茅ヶ崎の海がある。「波のリズムは、どこかに向かって動き、引いていく。その大きな物語を音楽で作ろうとしているのかもしれない」
○…幼少期に都内から浜見平へ。音楽との出合いは恵泉幼稚園だ。今でも親交をもつ教諭の伴奏に「僕は歌わず、じっと聴き入っていました」。東京藝術大学で作曲やピアノ、バイオリンを学ぶ。茅ヶ崎ロータリークラブの推薦でドイツへの留学機会を得ると、毎日のように歌劇場へと通った。「偶然、指揮をする機会をもらえた。運が良かった」と謙遜するが、これまでに20以上のオーケストラを率いているのも事実だ。
○…日本とドイツに拠点を持ち、公演ごとに各国を飛び回る。相棒のタバコとコーラはどこでも欠かさない。「やっぱり動かさないと指は鈍るし作曲もしたい」と、休日でも一日中ピアノに没頭するが、時には朝にシャンパンを開け、友人らと談笑して息を抜く。
○…「クラシックの文化を伝えることはカペルマイスターとしての最後の世代である僕の使命」と語る。日本のクラシックについては、「日本人ならではの細部まで行き届いた演奏とヨーロッパのクラシックが混ざれば、独自の音楽として発信できるはず」と期待を込める。満を持しての3月11日の故郷公演(市民文化会館)。「どう感じていただいても自由。音楽を楽しんでほしい」
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