茅ヶ崎市内で女性初の剣道7段に昇段した 福本 富江さん 浜須賀在住 75歳
30年求め続けた剣の道
○…全日本剣道連盟が定める段位のうち、最高峰の8段に次ぐ7段への昇段を、市内在住の女性剣士として初めて果たした。受験資格を得るだけでも15年以上かかり、合格率も1割ほどと言われる難関だけに「素直にうれしい。理解して支えてくれた家族や先生方のおかげ」とほほ笑む。
○…福岡県北九州市の出身で、結婚を機に茅ヶ崎へ。3人の子どもが小学校時代に通い、役員も務めていた「松浪剣友会」で剣道を始めたのは45歳の時。「子育てがひと段落して健康維持のつもりでした」。いざ始めてみると「体力的にはきついし、夏は汗だく、冬は足が凍えて大変なことばかり」。しかしその苦しさを乗り越えることが達成感につながっていった。4段の審査で「会場の雰囲気に飲まれ、全く力が出せなかった」ことをきっかけに、辻堂の道場にも通うように。コツコツと心技体を磨き続け、2011年には6段を取得した。
○…その後、7段には7回挑戦したが昇段は叶わず。4年前には交通事故で4カ所を骨折する大けがを負ったこともあり、5月の昇段審査会には「今回が最後」と臨んだ。試合形式の実技審査では、相手に向かっていくことに集中した。「剣道では『初太刀一本は千本の価値』といわれる。勇気を持って最初の一本を打ち込めたことで『例え不合格でも悔いがない』と思っていた」という。そこへ届いた吉報に「30年分の努力を評価してもらえた気がした」
○…松浪剣友会で現在も週2回、子どもたちの指導にあたる。どのような言葉をかければやる気を引き出せるのか、試行錯誤の日々だ。「7段としてはゼロからのスタート。本当の意味で段位に相応しい人間になれるよう、身体が動く限り、稽古を重ねていきたい」
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