元政上人の遺墨展 隆盛寺(りゅうじょうじ)−『身延道の記』草稿巻子(かんす)本など
江戸時代初期の日蓮宗の高僧、元政上人(1623〜1668)の遺徳をしのぶ展示会「芭蕉翁と元政上人展」が、3月12日(土)から16日(水)まで、隆盛寺(市内大神・萩原是正住職)で開催される。入場無料。
元政上人の忌日に近いこの時期に毎年開催し、今年で21回目。萩原住職が半世紀以上にわたり収集してきた遺墨をはじめ、元政上人に漢詩を学んだ北向雲竹(きたむきうんちく)が松尾芭蕉の書法の師にあたることから、芭蕉に関する貴重な作品なども展示する。
元政上人は幼いころに松永貞徳から和歌や歌道を学び、数多くの文学作品を世に送り出した文人・詩人で、寛永文化の隆盛に大きく寄与した。母を連れて身延山に参詣した様子を漢詩と和歌を交えて綴った『身延道の記』は、芭蕉の『奥の細道』と並び称される紀行文として知られている。
萩原住職は、会社員だった昭和23年に元政上人の著書『艸山(そうざん)集』を手にしたことがきっかけで出家を決意。身延山で9年間の奉仕の後、隆盛寺住職となった。その間、元政上人や縁ある人物に関する作品の収集を続け、現在では全国でも指折りの所蔵数を誇る。
元政上人について、萩原住職は「篤実な親孝行の姿勢や豊かな文学性が魅力。現代人が忘れかけている、慈悲深さと人を大切にする気持ちを思い返すにあたり、元政の生き方に手本があるのではないか」と話す。
会期中は、『身延道の記』の草稿巻子本をはじめ、日蓮聖人の真筆『扶桑略記』断簡、芭蕉の俳文『更科姨捨(うばすて)月之弁』や俳句「ふる池や〜」の真筆などを公開。13日(日)13時半からは、石川丈山と元政上人の交流を示す所蔵品を基にした萩原住職の講演をはじめ、「一茶の俳風―知られざる一茶の俳句世界―」(矢羽勝幸氏)、「歌人元政とその和歌」(島原泰雄氏)と題した講演も行われる。聴講無料。
6日(日)13時半からは、元政上人忌俳句会を開催。詳細の問合せは同寺【電話】0463(55)0945まで。
住所/平塚市大神2160交通/平塚駅北口6番乗り場「本厚木駅南口」20分、「真芳寺」下車徒歩3分
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