自然文化 地域で保全
市内城所の水路沿いで、彼岸花が間もなく開花を迎える。人目に付かず咲いていた彼岸花を城所の名所にしようと、昨年、住民が球根を分球して植えたものだ。草の根の活動で地域活性と自然文化の継承を目指す、住民の取り組みを追った。
彼岸花は、大住中学校の南を流れる水路の土手に植えられた。
3年前の秋、付近に住む松井孝城さんが土手を散歩中、鮮やかな赤い花の群生を見つけた。「誰が植えたのかは分からないが、それまで全く気付かなかった。水路両脇の田んぼで作業する農家の人しか、彼岸花の存在を知らなかったのでは」と松井さんは話す。
土手からは、田園風景の先に富士山や大山連峰まで一望でき景観が良い。風が穏やかな日は、水路に逆さ富士が映ることもあるという。「この場所に、たくさんの彼岸花を咲かせることができないか」。松井さんら地域住民は、城所の里を育てる会(早川義弘会長)を昨年設立、城所の名所づくりとして彼岸花の植栽に乗り出した。
同年4月、群生していた花から約1万株の球根を採取し、5月初旬に水路北側の土手に半日がかりで植えていった。球根採取と植栽には市職員も協力し、軍手や移植ごても市から提供してもらったという。
会員の活動によって陽の目を見ることになった彼岸花は、群生地から土手沿い約700メートルにまで範囲を拡大。城所まんじゅしゃげロードと名付け、開花時期に合わせた9月中旬に花見会を催すまでになった。
今年6月には、彼岸花の間を縫うようにして、会員が持ち寄った水仙の球根5千株も植えた。早ければ年末には開花予定で、「雪化粧をまとった富士山を眺めながら早春の花見を」と会員も期待を寄せる。
同会は花の植栽だけでなく、だんご焼きや大山講など、地域に残る伝統文化の継承にも積極的だ。高齢化や後継者不在で深刻化している荒廃農地の活用法として、ソバの栽培事業も立ち上げた。「活動を通じて、住民の間に継続的な交流が生まれたことが嬉しい。地域が協力して、残された自然や文化をもっと良い形で次世代につなげていかないと」と松井さんらは願っている。
今年の花見会は、9月18日(日)午後3時から。集合場所は大住中学校正門先のT字路。問合せは、同会の松井さん【携帯電話】090─8946─1106。
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