家族の絆 竹で編み込む アマチュア竹芸家 東次男さん
細く加工した竹を立体的に編み、竹の持つ素材感を生かした温もりのある作品をつくり出す竹芸。時代とともに職人の数は減りつつあるが、アマチュア竹芸家の東次男さん(64歳・めぐみが丘)は、仕事の休日を利用して自宅で作品制作に励んでいる。
東さんは竹芸が盛んな栃木県大田原市で、毎年秋に行われている「全国竹芸展」に第1回目から応募、3回目には最優秀賞を受賞した。ここ数年は出展機会に恵まれなかったが、第16回目の今年は出展作品がデザイン賞に選ばれるなど、独創的な作品を数多く生み出している。素地の風合いを生かすだけでなく、染料で着色した竹を編んだ鮮やかな作品も得意分野だ。
妻・悦子さんの故郷、長野県の竹芸工房に立ち寄った際、鳥を模した竹細工を目にして以来、すっかり竹芸の虜になった。「小さな頃、チャンバラ遊びに使う竹刀を自分で作っていたので、竹は身近な存在でした」と東さんは話す。
当時住んでいた埼玉県から宇都宮市の工房まで習いに通い、技法を学んだ。平塚へは3年前に越してきたばかりで、自宅周辺に竹細工の材料となる真竹が多く茂っていることから、作品に使用する竹は自身で切り出してくるという。
油抜きのために苛性ソーダで煮出し、天日干しで乾燥させた竹は緑色から真っ白に変色。作業台に刺した2本の小刀の間に竹を通して幅を揃え(=写真)、厚みも1ミリ以下に削っていく。1本1本を加工し終えるとようやく制作に取り掛かるが、1つの作品に用いる竹は100本を超えることもあり、下準備だけでも気の遠くなるような作業だ。
家族との交流に一役
2人の子供の結婚式では、引き出物に竹細工を贈りたいと頼まれ、ゲストのためにブローチや靴べらを作った。自宅には過去に制作したオブジェなどがそこかしこに飾られ、悦子さんも「竹細工はお花挿しにちょうど良いんです」と嬉しそう。
東さんの作業を見守る悦子さんは「私は見ているだけ」と謙遜するが、何気ないアドバイスが構想のヒントになることも。東さん一家にとって竹細工は、家族の絆を一層深める役割も担っているようだ。
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