大きなやりがいも感謝の言葉に喜び
一人で暮らす高齢者の安否確認や、生活困窮者の福祉相談など、地域住民の生活の見守り役となる民生委員児童委員。近所づきあいの希薄化する現代社会にあって、その役割は重要性を増す一方、プライバシーへの配慮などから円滑に職務が進まない事例も増えつつある。そんな葛藤を和らげる研修会が行われている。
10月27日、旭南と旭北地区の民生委員児童委員48人が旭南公民館に集まった。普段顔を合わせない近隣地区の委員同士が集まり、情報や悩みを共有しようとの試みから開かれたという。
会場には、昨年12月の改選で着任したばかりの委員や、長年にわたり尽力するベテラン委員が数人一組のテーブルに分かれ、「わからないこと・困っていること」や「やってよかったこと・ためになったこと」などを話し合うグループワークを行った。
困り事については、「独居高齢者にどこまで関わっていいものか判断が難しい」、「本人が隣近所ともコミュニケーションを取っておらず連絡がなかなかつかない」、「夫婦喧嘩や近所とのトラブルを持ち込まれ、どう対応すればいいのか分からない」などの話が寄せられた。
平塚市民生委員児童委員協議会は例年、市内の全委員を対象に、職務についての講義や事例発表を聴く研修会を開いてきた。しかし、そうした座学形式ではなく、現場の委員が主役となって問題意識を積極的に発信する場が必要だとして、今秋から市内を8つのブロックに分けた小中規模の研修会を開いている。
旭南地区民生委員児童委員協議会の飯田弘会長は、「委員になってみないと分からない悩み事がある。自分の経験を互いに出し合って、皆さんの不安を少しでも解消してもらえるきっかけづくりになれば」と、研修会の意義について語る。
飯田さんは18年間、委員を務めている。「委員活動は、自分を含めての人助け。自分も世話になることがあるかもしれない。地域で助け合いの精神を守るのは大切なこと」と話す。
当日の研修会でも、「家を回って『ありがとう』と感謝されるのが一番嬉しい」、「近所に顔なじみが増え、挨拶をしてくれるようになった」など、委員のやりがいも話し合われた。
市福祉総務課の職員は、「民生委員児童委員のなり手不足は、全国的に深刻な問題になっていますが、平塚市では404人の定数にほぼ達しています。高齢化社会に向け、地域と福祉行政との橋渡し役となっていただく委員さんの存在はありがたい」と話している。
昭和23年に作られた民生委員制度は現代社会とのギャップに直面しているが、都市化の波に取り残される生活弱者の見守り役として、希薄化する社会で不可欠な存在となっている。
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