1カ所千円程度安価に工夫
震災時の家具の転倒を未然に防ごうと、災害から未来(あす)を守る会(能勢康孝代表)が22日、富士見平自治会の8世帯でタンスや食器棚などの固定工事を行った。高価な固定具は使わず、1カ所1000円程度の材料で仕上げる家具固定が同会の自慢だ。
同会は今年度、市の公益信託制度「ひらつか市民活動ファンド」から41万円の助成を受け、材料費のみの負担額で家具の固定工事を提供している。100世帯での実施を目指し、今回の富士見平自治会を皮切りに、依頼の寄せられている桃浜町自治会や浅間町のマンションでも予定している。
ユニークなのは家具の固定方法。1本の固定木材を家具上面と壁に接するように置き、木材と家具、壁とをそれぞれビスで留める。固定材を支点に転倒を防ぐという仕組みだ。ビスを留める場所は壁の中の間柱などを狙う。
また、家具と天井との隙間に手作りの木製箱やダンボール箱を詰める方法もある。木製箱は利便性を考慮して収納型にし、ダンボール箱には牛乳パックを詰めて強度を高めるなど、アイデアもきらりと光る。
こうした工事を実際に手がけるのは、同会に協力する地元工務店4社。必要最小限の材料で効果的に家具を固定をするのに欠かせない存在だ。その1社を営む菅家芳助さんは、「家具と固定する壁の中の間柱の位置を探したりと、素人にはなかなか難しい作業。ほとんどボランティア仕事だけど、安くて丈夫に仕上がって喜んでもらえる」と笑顔で話す。
菅家さんらは、今回工事の対象となった各世帯を事前に調査し、家具の置かれた場所や壁との接し方、間柱の位置、壁や天井の強度などを見ながら、材料にかかる費用を提示して補強方法を提案した。当日の現場でも、食器棚やタンス、仏壇、テレビなど、1世帯7カ所程度の作業を状況に応じて手がけた。
今回工事を依頼した中里在住の阿部輝一さんはこれまで、つっかえ棒などの固定具を購入して、自主的に家具の転倒対策をしていたという。阿部さんは「固定具は三〜四千円程度したから、こんなに安価にできるとは。目に触れない場所で見た目も気にならないし、しっかり固定されているから安心だ」と喜んだ。
同会の事務方を務める大石明広さん(NPO法人暮らしと耐震協議会事務局長【電話】0463・92・4331)は「阪神淡路大震災でも転倒家具や家屋の倒壊で亡くなった方がほとんど。今回の世帯から『家具が倒れなくて助かった』と言ってもらえたらこんなに嬉しいことはない」と話していた。
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