入院生活を送る子どもに、薬や手洗いなどの大切さを伝えようと東海大学生が制作した絵本「できるもん!!〜おくすりマンとこびとさんのおはなし♪〜」が、同大学付属病院の入院児を勇気づけている。院内での読み聞かせで子どもの反応に触れ、学生の手応えも上々だ。
『おれはわるいバイキンだ!』『わあー!!こわいよー!だれかたすけてー!!』。物語は、主人公の男の子が夢の中に現れたばい菌と戦うため、「おくすりマン」の助けを借りて苦手な薬を克服するストーリー。おくすりマンは入院児が親しみやすいよう、同院の小児病棟で薬の服用補助に用いられる黄色い注射筒をモチーフにした。食事前やトイレ後の手洗い、毎日の歯磨きを小人たちが呼びかける物語も収録し、日常生活の心がけも学んでもらおうという全40ページの力作だ。
絵本を制作したのは、病院ボランティアプロジェクトの学生。週に数回、入院児への絵本の読み聞かせや遊び相手を担う中で、薬の服用を苦手とする子どもが多くいることを知った。
「子どもたちが大好きな絵本を使って、薬に対する怖い気持ちを和らげてあげたかった」と話す小出桃子さん(工学部3年)を中心に、昨夏から絵本作りに着手。看護師や教授への聞き取り取材をもとに、3歳〜5歳児への読み聞かせに最適な内容と、愛らしいキャラクターを考えた。
絵本は2月に完成し、2冊を同院に寄贈した。消毒ができるようラミネートを施し、子どもが触っても安全。5月からは一般家庭でも活用してもらおうと、ホームページでのダウンロードを始めた。
「看護師の方からは、プレパレーション(医療を受ける子どもの心理的準備)に役立つと喜んでもらえた。普段は笑顔で接してくれる子どもたちも、心の底では不安を抱えている。絵本をきっかけに、入院生活を楽しく送ってもらえたら」と小出さんは期待する。今年度、絵本制作グループのサブリーダーになった桑原奏子さん(教養学部2年)は、「次はCTやMRIなど医療機器を題材にした絵本を作り、検査に臨む子どもたちに読んでもらいたい」と意気込む。
プロジェクトでは、同院で患者のベッドメイキングや食事介助などの病棟ボランティアを行うほか、夏と冬に「癒しのイベント」と題したコンサートを企画。地域と病院をつなぐ活動で、入院患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に励んでいる。医療現場では専門性が求められるため、勉強会を通して知識の向上にも積極的だ。
絵本のダウンロード▽http://deka.challe.u-tokai.ac.jp/hospital/
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