赤十字奉仕団が高齢者施設を訪ねて実施している歌唱ボランティアが好評だ。といっても、人前で歌を披露する活動とは異なる。主役はあくまでお年寄りたち。日頃、介護を受けている施設利用者が歌うのをボランティアがサポートすることで、高齢者たちは自分自身を取り戻し、生き生きとした表情を見せている。
高齢者の記憶引き出す
奉仕団のメンバー9人が5月26日、市内大島にある特別養護老人ホームふじの郷を訪れた。ホールに集まった高齢者約50人の間に入り歌集の詞を指で追い、「せいくらべ」「赤いハンカチ」「海」「ふるさと」などを合唱するのを手伝った。
歌の合間で県歌唱赤十字奉仕団委員長の池田泰俊さんが「これは昭和36年の日活映画の主題歌。誰が歌っていたか知っていますか」と聞くと、あちらこちらから「石原裕次郎」と答え。「では、その頃に普及した家電製品は何でしょう」。「炊飯器と洗濯機、電気掃除機」。こうした会話をしたり、上原謙や岸恵子ら往年の銀幕スターの写真を見せたりして、歌の時間は次々と出るリクエスト曲も含め、たっぷり1時間続いた。ピアノ伴奏者の山内善一さんが詩吟入りで黒田節を披露するコーナーも登場。大正生まれだという女性は「お父さん上手だわ」と感激した様子だった。
「お年寄りにとって、歌っている時は本来の自分に戻れる」。この日の活動リーダーを務めた三川トシ子さんは、一緒に歌うことで自分も喜びを感じることができると話す。「歌を通して昔の記憶を呼び起こす回想法が脳を刺激し、認知症の進行を抑え、精神的な安定をもたらす効果がある」と池田さん。介護が必要な高齢者が今後も増えていく中、地域での支援がさらに必要だと訴える。
現在、ふじの郷のような参加者が大勢いる施設で10人位、少人数の所では三、四人の団員が組になり、市内21カ所の高齢者施設を巡回している。しかし、引く手あまたで、施設側の希望に応えて県内各地に歌唱ボランティアの活動を広げていくために同奉仕団では協力者を募集。興味のある人はひらつか市民活動センターへ(【電話】0463・21・7517)。
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