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平塚版 公開:2014年10月9日 エリアトップへ

「裸の社交場」を訪ねて

公開:2014年10月9日

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黄色い看板と店舗裏手の煙突が目印。建物は戦後に再建した
黄色い看板と店舗裏手の煙突が目印。建物は戦後に再建した

 日帰り温泉やスーパー銭湯などの「カジュアル温浴」が市民権を得る一方、昔ながらの銭湯が姿を消しつつある。ピーク時には市内に20軒ほどあった銭湯も、施設の老朽化や後継者不足、採算の悪化などで数が減り、今ではわずか2軒が営業を続けるのみだ。10月10日「銭湯の日」を前に取材した。

 イチョウ並木通りから路地に入ると、空に伸びた赤茶色の煙突からかすかに煙が立ち上る。立野町で営業を続ける「よねの湯」だ。

 銭湯といえば寺社建築のような唐破風(からはふ)を想像するが、よねの湯の佇まいは至ってシンプル。「ゆ」と書かれた青い暖簾をくぐれば、脱衣所には年季ものの体重計が鎮座し、冷蔵庫にはお約束のコーヒー牛乳が並ぶ。

 創業は大正13年。戦時中の平塚空襲で全焼し、2年後に再建した。現在は2代目の関上光正さん(81)夫妻と3代目の和男さん(52)夫妻の4人で切り盛りしている。店の名は、初代店主の八十八(やそはち)さんの漢字を組み合わせた「米」にちなんだものだ。

 燃料に廃油やガスを使う銭湯が多いなか、よねの湯では製材所などから引き取った木の端材をくべて湯を沸かす釜焚きを続けている。釜番は光正さん夫妻と和男さんの3人が交代で行い、午後3時の開店に合わせて元湯を85℃程度に維持する。店の敷地には木材がうず高く積まれるが「冬場になれば、2トントラックの荷台いっぱいの材料を一週間で使い切ってしまう」(光正さん)ほど、釜焚きの風呂には膨大な木材が必要という。

 銭湯は、物価の安定を目的に戦後間もなく施行された物価統制令が今でも適用される、国内唯一の業界だ。入浴料は都道府県ごとに一律で、牛丼チェーン店のような価格競争とは無縁。しかし国や自治体からの補助金は減額され、燃料の高騰が経営を圧迫するなど、銭湯を取り巻く環境は厳しさを増す。

 「世間の常識に合わせてサービスも変えていかなきゃいけない」と和男さんはいう。銭湯ではシャンプーなどの入浴セットを利用者自身が持ち込むことが慣例となっているが、いつか浴場に備え付けることで来店客の利便性を高めたいと考えている。湘南ベルマーレの本拠地からほど近い立地を生かし、ホームゲーム開催日にアウェーチームのサポーターに向けたキャンペーンも構想中という。

 親子3代で受け継ぐ伝統を絶やすまいと、和男さんは10年後の創業100年を目標に「細く長く」商売を続けるつもりだ。裸の社交場を求める利用客を受け入れるため、今日も店先に暖簾が揺れる。

MADOショップ平塚真土店

断熱窓リフォームに、今年も国から補助金あり!

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