「人と海を繋ぐ研究を」
相模湾平塚沖から約1Kmの地点にある「平塚沖総合実験タワー」(タワーオフィサー・東京大学生産技術研究所林昌奎教授)。国内唯一の沖合海洋観測施設で、45年以上にわたり、海象・気象データを集積している。湾岸開発や海洋再生エネルギーなど先駆的な研究・実験を進める場として研究者らの注目を集めている。
実験タワーは1965年、津波や高潮による沿岸災害の防止・軽減のための試験研究施設として、独立行政法人防災科学技術研究所が設置。2008年に運用が停止され、翌年に東京大学へ管理が移管された。虹ケ浜にある陸上の管理施設と合わせた「平塚総合海洋実験場」が正式名称だ。
実験タワーは、設置当初から現在まで45年にわたり、波高・水温・風速・風向などの海洋・気象データを観測している。各数値データは、タワーに設置されたカメラで撮影された海の状況と共に、県のホームページを通じ、リアルタイムで配信されている。
施設利用を視野にタワーの見学に訪れた企業研究者の一人は「40年以上同一地点で観測され続けているデータは非常に貴重」と力説する。データは湾岸地域の開発や海洋環境変化などの研究に活用され、東日本大震災以降、防災対策分野でも注目されているという。
国内にある海上タワーは、観光目的の物が多く、海洋実験施設として広く使用できるのは、平塚沖総合実験タワーのみだという。管理が東京大学に移管されて以降は、海中ロボットや気象観測ブイ、海上再生エネルギーなど、海洋実験プラットフォームとしての側面を強め、同大学に限らず、他大学や研究団体、企業などからの協力依頼も多い。実験タワーの屋上に設置されている海面観測レーダを利用し、宇宙からの衛星レーダの通信開発にも利用されている。
市産業振興課は3月23日、地元産業や企業などの橋渡しを目的とする産業活性セミナーで施設を紹介。講師には同施設タワーオフィサーの林教授が招かれ、多くの人が集まった。同大学の研究者は「タワーの運営目的は、人と海の間の垣根を埋めたい、というごくシンプルなもの」と説明する。「日本は島国。海と上手く付き合って暮らすためにも、この施設を広く活用していきたい」と話していた。
平塚版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>