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ウォーキングラリーで県が九宿に脚光 大磯宿に近接「平塚宿」の謎 中原御殿の中継地として整備

文化

公開:2015年11月12日

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大磯宿に近接「平塚宿」の謎

 神奈川県は11月14日から12月13日まで「東海道神奈川九宿ウォーキングラリー」を実施し、県内宿場町に光を当てる。東海道散策を健康増進に役立ててもらうため、宿場町のポイントに設置されたシールを5種類以上集めた人に抽選で景品を進呈する趣向だ。7番宿「平塚宿」のあった平塚市内では、ひらつか市民プラザ、崇善公民館、旧横浜ゴム平塚製造所記念館でシールを配布する。地名の由来にもなった平塚宿の歴史について、市博物館に取材した。

 東海道は徳川家康が整備した主要交通路の一つ。太平洋側の陸路物流の要として、東京都日本橋から京都府三条大橋までの交通要所53カ所に馬や宿などを提供する宿場が設けられ、人や品、情報が集まる場として栄えた。

 平塚宿は、現在の市民センターから古花水橋周辺にあったとされる(=図)。まっすぐに伸びる街道の両脇に町屋が続く、東海道では一般的な形の宿場で、県内9宿場のうち2番目の小ささだった。江戸方面から平塚宿に入ると真正面に高麗山が見え、その様子は歌川広重の浮世絵『東海道五拾三次』に「平塚縄手道」として描かれている。平塚宿からは須賀港の魚やたばこ、農作物などが運ばれたと推測されている。

 平塚宿に関する資料は、建物を含め、戦災・震災などで大部分が失われた。「本宿」などの地名や、跡地に立つ石碑、市博物館に保存される僅かな資料が往時を知る数少ない手がかりだ。

 当時の平塚宿について、市博物館の学芸員、早田旅人さんは「あまり栄えていなかった」と分析する。十返舎 一九の旅物語『東海道中膝栗毛』には平塚宿に関する記述がなく、平塚宿についての当時の旅日記でも「(平塚宿は)わろし」といった評価が多い。

 もともと江戸以前の平塚で最も栄えていたのは、漁場として栄え水運の要所でもあった須賀地区。平塚宿は特筆すべき「名所」がなく、江戸時代の平塚を詠んだ川柳に「平塚の宿は毒にも薬にも」とあるほどだ。

 加えて27町(3Km)ほど先には、仇討物の名作として人気を博した『曽我物語』の舞台として知られる大磯宿があった。大磯は話中のヒロイン、虎御前が住んでいた場所で、大磯宿に降る「虎が雨」は広重の『東海道五拾三次』にも登場する。

 平塚宿は、鎌倉時代から交通の要所として栄えていた大磯宿の暫定的な存在として扱われ、宿泊地より休憩所として利用される場合が多かったことが、当時の宿場帳などの資料から分かるという。

 東海道の整備と共に新たに宿場町となった平塚宿。なぜ、既に栄えている大磯宿の目と鼻の先に設けられることになったのか。

 早田さんによると、その理由は「徳川家康の趣味」にあるという。家康は鷹狩をするため、名所として知られた平塚の中原に御殿を構えていた。御殿には代官陣屋も設置され、相模国中郡支配の拠点にもなった。早田さんは「御殿と東海道の中継基地として平塚宿が必要とされた」と分析する。

 中原御殿は周辺の「御林」も含め、明治時代に幕府が解体されると共に国有地となった。東海道に近い広大な土地は重宝され、日露戦争後には海軍の火薬廠が設けられた。

 「平塚宿がなければ、ここまで市は発展しなかったかもしれない。この機会に興味を持つ人が増えれば」と早田さんは話していた。ウォーキングラリーの詳細は県ホームページへ。

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