夏休み中の学生らが市民団体の活動に参加するユースボランティア。その参加者数が2012年度を境に、激減している。その背景には、県公立高校入試でボランティアなどの活動実績を内申加点する制度が廃止された影響があるとみられる。
現在、日本全国で市民団体の後継者問題が取り沙汰されている。メンバーの高齢化のため存続が危ぶまれているからだ。存続のためには、若い世代を取り入れなければならない。その呼び水とされているのが、2004年からひらつか市民活動センターで実施されているユースボランティアだ。
この取り組みは、ボランティアの場を探す中高生と市民活動を体験して欲しい団体を橋渡しするもので、10年度のピーク時には、170人のボランティアが集まった。
しかし12年度を境に、その参加人数が激減している。10年度が170人だったのに対し、12年度は58人に減少。そのうち中学生の参加者数は133人から28人まで減少し、昨年度は4人だった。
この背景のひとつに、12年度に告知され、13年度に実施された県公立高校の入学者選抜制度の改定が挙げられる。それ以前の選抜制度では、ボランティア活動や部活動の成績などの生徒の活動実績が内申点に加算されていたが、この入試改革でそれが廃止された。
この改定について県教育委員会は、調査書に記載された中学校での生徒の活動実績は「適正にその意欲を把握できない側面を持つことも懸念された」と理由を挙げる。また、内申加点は無くなったが「面接時に意欲を測るうえで参考となっている」と説明する。
一方で、市民活動センター職員の荒原修平さんは「参加だけを目的とした受動的な生徒が減り、参加を通して学ぼうとする能動的な生徒の割合が増加したように思われる」と話す。
市内のホームレスを支援する「平塚パトロール」の活動に夏休みのユースボランティアで参加した竹本歩未さん(16)と海老澤采未(ことみ)さん(15)は「前々から市民活動に興味があった。実際に現状を見ることで、色々な視点を学ぶことができる。ほかの人が好んでやらないような活動を進んで行う姿に感動した」と振り返る。
同センターは、市民活動を担う後継者を集めるためにも、広報の対象を大学生や社会人に拡幅、参加者数は年々増加している。
障害のある児童を支援する「風の子くらぶ」に参加した市内幼稚園に勤務する久保田裕美さん(31)は、「普段の幼稚園の仕事のやり方と比較して考えられる良い機会だった」と話していた。
荒原さんは「こうした主体的に取り組む方たちが若いうちに市民活動を経験することによって、将来の市民活動を支える種になってくれれば」と期待を寄せている。
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