タウン レポート "日々精進"縁の下の力持ち 湘南ベルマーレスタッフ田村雄三さん(28)
「もっと強くなれる」
持ち前のスタミナで現役時代は攻守のキーマンとして縦横無尽にピッチを駆け回り、闘志溢れるプレーでチームを鼓舞した湘南ベルマーレ背番号2・田村雄三。サポーターの惜しむ声を受けながらピッチを去って3ヵ月が経過した今、緑と青のユニフォームから背広とネクタイ姿に変わり、チームスタッフとして第2のスタートを歩みだした。
「引退したばかりなので、名前の賞味期限が切れる前にどんどん使って下さい」。仕事始めとなった1月5日、スタッフ全員の前で頭を下げて、裏方としての第一歩を踏み出した。配属先は強化部強化担当。シーズンが開幕するとJリーグはもちろん、大学リーグにも足を運びクラブの次代を担う若手や有望選手の発掘、調査といったスカウトに目を光らせる部署だ。
オフシーズンにあたる現在は、慣れないデスクワークに四苦八苦。電話応対を例に挙げ、「少々お待ち下さいなんて今まで言ったことがない」と苦笑い。またスポンサー契約を結んでもらおうと、飛び込んだ営業先では話すら聞いてもらえず撃沈。現役時代には経験したことのない、社会の厳しさをあらためて痛感した。全てが一変した環境にも「毎日が新鮮。新人らしくスポンジのように何でも吸収したい」と何物にもめげない素振りは、プロ生活で培われた闘志が成せる業か。スタッフの中でも1・2番手を争うほど早く出勤し、雑用からスクールの手伝いまで、出来ることは何でも積極的に取り組む姿勢を崩さない。
昇格を果たし、自身の中で「よし、これからだ!」と期待した矢先の引退は、昨シーズンホーム最終戦2日前に他の選手に伝えられた。早すぎる引退を惜しむサポーターの声に「嬉しかった」としながらも、引退後の生活を考えると、家族を養う一家の大黒柱として多少の不安を抱いていたそう。だからこそスタッフとして働く今、選手に対し「一分、一秒を大切にして欲しい」とエールを送る。
ベルマーレの魅力は?と尋ねると、二つ返事で「上を目指す楽しみ」と返す。浦和や鹿島といったビッグクラブに追いつき、追い越せる可能性を信じて止まない。選手とスタッフの双方の気持ちや立場を理解しているからこそ、「僕が橋渡し役を担い、クラブとして一枚岩になれればもっと強くなれる」。その目線は、現役時代を彷彿とさせた。
引退セレモニーで挨拶する
現役時代の田村さん
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