刊行記念し一斉巡拝を実施
市観光協会(平塚市松風町2―10/【電話】0463・20・5110)が、「相模の札所巡り〜相模 新西国 三十三観音霊場〜」を刊行した。二宮の藤巻寺から始まり大磯、平塚を巡り秦野の太岳院に至るまでの巡拝ルート、仏像写真、寺院の由来などをわかりやすく網羅した一冊に仕上がっている。
観音巡りは日本各地に伝承され、広く知られるものに「日本百番観音」に数えられる坂東三十三観音霊場・秩父三十四観音霊場・西国三十三観音霊場がある。12年に一度、丑年に開帳される相模三十三観音霊場も歴史は古く、文献を紐解くと起源は徳川吉宗の時代に遡るという。
編集の音頭を取った同協会観光アドバイザー馬場一夫さんが、相模三十三観音に出会ったのは2010年5月。秦野在住の元教師であった片野福次さんの著書「相模の札所巡り」を手にしたのがきっかけだった。「これほど歴史のあるものが身近にあるのに、埋もれさせてしまうのはもったいない」と、一人で33の寺院を回り、場所や由来などを半年かけて調べた。
「ご住職に聞き取りをしたら、片野さんの著書のような本がまた欲しいという要望が多かった」と馬場さん。同年10月に募った観光協会所属ボランティア「第二次平塚市民観光サポーター」から札所巡りグループを作り、片野さんの遺族から再編の許可を得て本格的に編集作業へ移行した。
趣旨の説明、原稿の書き起こし、秘仏の撮影などのためにサポーターと共に幾度となく各寺院へ足を運んだ。片野さんが執筆した40年前とは様変わりした交通事情を調べるため全てのルートを踏破し、寺院間の距離・所要時間を実測。サポーターの石井英雄さんが地図を一から書き起こしている。
制作の過程で一番苦労したのは、大磯の8番寺・普門寺。バス停の名前はあるが廃寺になっていたため見つからず、近隣民家の聞き取りから始めたという。足取りを辿ったら、僧侶になっていたかつての住職の息子が観音像を保管していたそうだ。
「鎌倉時代以前の仏像を歴史ある美術品として楽しむことも出来るし、何よりこういった物をゆっくり巡ることで、忙しく生活する現代人の一つの安らぎになればと思う」と馬場さん。そこには2市2町にまたがる広域観光としての広がりへの期待もある。
同書は市観光協会で700円で販売され、2月10日より受付開始。内容を簡略化した案内パンフレットも同時に作成し、こちらは無料で配布される。また、発刊記念の一斉巡拝を4月20日〜22日に実施。期間中は全ての観音像(一部前立ち観音や写真掲出)を参拝でき、朱印の対応も行われる。
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