「男性の男性による男性のための料理教室」が1月24日(火)、市福祉会館で開かれる。中高年男性が料理を学ぶ「平塚美食倶楽部」が初めて企画した。もともと包丁を握ったこともなかったメンバーらが教わる側から初めて教える側へ。女性活躍社会と言われて久しい昨今「男子、厨房へ入るべし」と奔走している。
平塚美食倶楽部は2011年9月に発足。同5月に市社会福祉協議会が主催した「男の料理講座」に参加し、料理に魅せられた有志が定年後の趣味として「自分たちで料理を楽しもう」と立ち上げた。
現在、メンバーはおよそ20人。全員男性で60〜80代が中心。活動は月1回、料理講習室に集まり、色々な料理にチャレンジしている。そこで講師を務めるのは、男の料理講座でも指導にあたった吉村喜代美さん(市内在住)。メンバーからは「先生」と慕われている。
同会で扱うレシピは吉村さんが「一汁三菜が前提で、健康に配慮しつつメンバーが実際に作れるようなメニュー」を毎回考案している。一例を挙げると、先月13日は「鮭の包み焼」「五色なます」「かぼちゃ甘煮」「かき卵汁」「炊き込みご飯」に挑戦した。ほかにも「海老のチリソース」「スパゲティボンゴレ」など、ジャンルは和洋中さまざま。「ご家庭でいつでも気軽に実践できるよう、一人前500円程度」を材料費の目安にしている。
吉村さんは最初にホワイトボードを使って手順や注意点などを説明。メンバーは4つのグループに分かれて調理に進むが、「最近はそこまで説明してあげる必要もなくなってきた」と”教え子”の成長を肌で感じている。
完成した料理を全員でテーブルを囲んで食べるのも楽しみの一つ。料理の完成はいつもちょうど正午をまわったころ。「みんなで腹を空かせて、みんなで食べる。美味しい、美味しいと言いながら世間話や近況報告に花を咲かせるのが良い」と同会代表の鳥居努さん(69)は笑う。
鳥居さんもほかのメンバー同様、当初は大根の皮むきもおぼつかない「まったくの初心者」だった。だが、240を超える献立をこなし着実に上達。今では自宅で家族に料理を振る舞ったり、より良い味付けについて議論できるまでになった。料理教室を企画できたのも、メンバー間のレベルアップが背景にある。
すでに満員となった24日の料理教室では、メンバー数人が「鮮魚と野菜の包み焼き」などを指導する。教わる側から教える側に立つことについて鳥居さんは「よくまあここまで来たなというのが率直な感想」としみじみ。料理教室の副題に「始まりは誰もが初心者だった」と添えたのは、自身のこれまでを振り返ってのことだった。
同会は昨年5周年を迎えた。鳥居さんは「一人暮らしになっても、自分で食生活を管理できるのが理想。万が一の備えにもなるよう、今後の活動をさらに良い形にしていきたい」と展望。こうした思いを広めるべく料理教室の定期開催も視野に入れている。
「自分たちで料理を楽しもう」と始まった活動も、今では「誰かに喜んでもらおう」に変わった。「もう初心者とは言わせない」と鳥居さんは充実の表情で胸を張る。
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