平塚駅前商店街の「まちゼミ」(1月20日〜2月18日開催)が好調だ。駅前の約20店舗が参加し、講師役の店主らがプロならではの専門知識や技術を一般消費者に紹介、普段聞くことのできない話に参加者も興味津々の様子だ。
こだわり伝えハートつかめ
大型商業施設「ららぽーと」(天沼)の出店を機に、市商店街連合会(常盤卓嗣会長)が駅前活性化への起爆剤として取り組んでいるのが、このまちゼミだ。
店の持つ専門性やこだわりをゼミナール形式で伝え、店に訪れるファンを増やしていこうというPR手法。受講する消費者側にも生活に役立つ情報を学べる利点がある。愛知県岡崎市の商店街で発祥し、賑わい創出に役立つとして注目され、今では全国260以上の商店街が実施している。
市商連も昨年から、まちゼミの発案者である松井洋一郎氏を岡崎市から招いて研修会を開くなど、準備を進めてきた。原則参加は無料で少人数制、商品販売をしないのが条件。初開催ながら、個性的な22講座が顔を揃えた。
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明石町の呉服店「だるまや京染本店」は4日、同店の職人が着物の伝統的な洗濯方法「洗い張り」を解説するゼミを企画、定員を超える11人の参加者が集まった。
洗い張りは、着物を解いて反物の状態にして洗う技法。参加者は座学で工程を学び、作業場を見学した。洗った反物に細い竹を張り、しなりを利用してしわを伸ばす「伸子張り」の体験も用意され、参加者も熱心に質問していた。
一家4人で参加した女性は「子供にとって貴重な学習体験になった」と満足そう。同店の八木賢一さん(34)は「これほど多くの方がいらっしゃるとは。伝統文化を知っていただく良い機会になった」と目を細めていた。
明石町の「アートギャラリー能勢」は先月28日、伝統的な掛け軸の飾り方や仕舞い方などを紹介した。壁の掛け軸を仕舞う時は、きつく巻き過ぎると表装を痛めるので、圧力をかけずに巻いてあげるのがポイントだ。
「日本の古くからある物は仕舞う時の見え方も意識するんです」と店主の能勢康孝さん。桐箱への入れ方、保存法まで紹介した。受講した男性(71)は「掛け軸の部位の名前も初めて知った。定年で時間に余裕があるので、別の講座も受講したい」と話す。
紅谷町で約700銘柄のたばこを販売する「湘南ヨシノヤ」は1日、店員の秋元祥代さんが手巻きたばこの楽しみ方を指導した。バニラやミントなど香りの高い葉を好みに合わせてブレンドし、フィルターと巻紙で包んで楽しむのが手巻きの醍醐味だ。
参加した50代の女性は「香りが心地よく、気分転換に吸ってみるのもよさそう」と、自作のたばこに火をつけて美味しそうに煙をくゆらしていた。
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商連の常盤会長は「それぞれの商店が個性づくりに取り組んで、その魅力をお客さんに知ってもらうことが、商店街全体を活性化させる本来の在り方。そういった意味でまちゼミは有効な手法で、今後も展開していきたい」と手応えを感じている。
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