「ここで良い」でなく「ここが良い」後押し
障害のある人の家族を対象にした「福祉事業所合同説明会」が先月18日、トッケイセキュリティ平塚総合体育館で開かれた。障害のある人の就労先を幅広く知ってもらう取り組みで、市内外の39事業所が参加した。これだけの事業所が一堂に会する説明会は近隣自治体でも珍しい。
合同説明会は昨年に続いて2回目。手狭だった市教育会館から体育館に会場を変更し、参加事業所を増やした。前回は養護学校に在籍する子の家族を対象にしたが、今回は乳幼児から成人まで対象を拡大。参加者も昨年の130人からおよそ500人に増えた。
会場では保護者らが参加事業所の特色や募集要件をまとめた冊子を手に関心のある事業所ブースを巡回、担当者から仕事内容などの説明を受けた。知的障害の息子を持つ女性の参加者は「インターネットで事業所を検索するといっても限界がある。事業所の方と直接話せる機会はなかなかないのでありがたい」と話していた。
説明会を主催した実行委員会は市内の福祉事業団体、市、養護学校の職員などで構成。平塚養護学校の教諭で実行委員の橋爪京子さん(52)は一昨年の企画段階から参加する中心メンバーの一人だ。
橋爪さんは、合同説明会を企画したきっかけに保護者からのニーズにくわえ「進路指導の限界」を挙げる。養護学校や特別支援級でも事業所を紹介するが、教諭が把握する事業所数には限りがあり、結果的に就労先が偏りがちになっていたという。事業所にとってこれが不公平感につながり、保護者にとっては幅広い選択肢の中から就労先を選べないという懸念につながっていた。橋爪さんは「障害のある人と事業所のマッチングは重視するべきであって、そこが企画の出発点」と強調する。
実行委によると、合同説明会は県内でもあまり例がない。担当者は「平塚市には養護学校、盲学校、ろう学校がそろい連携が取れている」と地の利を挙げ、「福祉事業所間のネットワークがしっかりしている点も大きい」と分析する。
実行委では合同説明会を来年も開催する予定で現在、実施規模を検討している。今年7月から11月には各事業所の見学会も開くといい、「より良い福祉支援のあり方を今後も模索していきたい」としている。
市外では秦野市で合同説明会を開催する動きがある。同市障害福祉課によると、来年度の開催をめざして障害者支援委員会で検討している。平塚市の合同説明会を視察した同課の担当者は「平塚市の取り組みを参考にしながら、保護者目線に立った意義ある説明会を実施できれば」と意気込んでいた。
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