▽中央省庁で障害者雇用者数の水増し問題が明るみとなり、全国の自治体で実態調査が進むなか、平塚市でも2017年・18年(6月1日時点)の障害者雇用者数を実際より多く申告していたことが判明。市はこのほど、17年は50人から40人、18年は55人から47人に下方修正した。
▽障害者雇用促進法は、法定雇用率に相当する人数の障害者雇用を民間企業や国、地方自治体に義務付けている。18年の法定雇用率は2・50%であるのに対し、市は2・60%と報告していたが、実際は2・22%だった。17年も法定雇用率を下回っていたにもかかわらず、法定雇用率を上回る申告がされていた。
▽厚生労働省が06年に示したガイドラインによれば、障害者雇用は原則として障害者手帳や医師の診断書・意見書を確認する必要がある。しかし、市は手帳を確認することなく目視や管理者へのヒアリングだけで判断。職員本人が障害者雇用の枠に算入されながら働いていることを知らされることもなかったという。行政組織としてあまりにもずさんなやり方であったと言わざるを得ない。
▽そもそも、法定雇用率はハンディキャップのある人が活躍する場を増やすことを意図している。雇用率を上げること自体が目的ではなく、働く門戸を開いていくことにこそ、意味がある。
▽雇用者数と雇用率を下方修正したことについて、落合克宏市長は記者会見で「ガイドラインを厳密に適用した確認をしなかったことから生じたもの」と釈明し、謝罪。「今回の事態を真摯に受け止め、障害者雇用について全庁的に検討する組織を立ち上げ、積極的に障害者の雇用確保にむけた取り組みを強力に進める」との方針を示した。
▽市は14年、身体・知的・精神障害のある人に嘱託職員として働いてもらう「ワークステーションひらつか夢のタネ」を庁舎に開設した。通常業務をするのが困難な人にも活躍の場を広げるためにつくられ、現在4人が在籍。通知書の封入や郵便物を各課に配ってまわるなど庁内から寄せられる事務作業にあたり、一般職員の業務効率化にも役立っている。
▽このように、障害者雇用について先進的な取り組みをしてきただけに、平塚市が雇用者数と雇用率を誤って報告していた事実は残念だ。今回の事態を重く受け止め、これからは単純に雇用率を引き上げるのではなく、障害のある人が活躍しやすい環境づくりというものを考えてもらいたい。
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