ジェットスキーのゲレンデとして知られる相模川の河口から世界に挑む女性プロジェットスキー選手がいる。
田中エミ選手(43)=55HEAVEN所属=は、昨シーズン、日本ジェットスキー協会(JJSBA)の「チャンピオンシップシリーズ」(全7戦)で総合3位。世界大会にも参戦し、2018年10月に米国アリゾナ州で行われたワールドファイナル(IJSBA主催)で準優勝し、12月にタイのパッタヤーで行われたワールドカップ(TJSBA主催)で優勝した。
米国の大会は、各国から多くのファンが観戦。初めて滑るゲレンデでもあったことから緊張し、体のしなやかさを奪われた。日本から応援に来てくれた仲間に見守られながらも、あと一歩で優勝できなかった悔しさが闘争心に火をつけた。
リベンジを誓って迎えたタイの大会。コースは過去に1度走ったことがあった。1500ccの12艇が海上のコースを周回して順位を競い、エミ選手は4回のラウンドでコンスタントに上位に食い込む。米国での悔しさを晴らしたエミ選手は、笑顔で表彰台の頂上に立ち祝福を受けた。
エミ選手がジェットスキーを始めたのは08年。夫の営む建設会社の顧客からの誘いで免許を取得し、その数カ月後には耐久レースに出場。「おもしろい」という感覚を得て本腰を入れた。今では「前に誰かがいるとがむしゃらに走れる」という水上の追撃者。レース中、いかにして追い抜くかを考えて孤独感を掻き消し、喜びを見つけ出す。
夫・邦彦さん(44)はスタート前に艇を手で抑えるサポート役として、すべての大会に同伴。恵まれた体躯でベストスタートを支えてくれている。「本人が気合入っているとこちらも手に力が入っちゃいます」と笑う。
次の目標は、今年4月〜10月のJJSBAのチャンピオンシップシリーズ戦での優勝。「今まで海外仕様で練習してきたので、今シーズンは日本のタイトルを獲るために相模川で練習を重ね、結果を出したい」と意気込みも一入だ。
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