大磯のギャラリーさざれ石で「白磁」個展を開催している 丸田 秀三さん 59歳
妥協を許さず打ち込む
○…個展を開催しているギャラリーでの取材。会場内には白磁の食器や花器などが並ぶ。「触れてみてください」と促され、触れると固いものという現実とはまた違う、赤ちゃんのような柔らかい感触が指先を通して体に入り込む。それは白という無垢な色が織りなす魔法なのか。今回の個展では約100点の白磁が展示されている。大磯町内に住んでいたこともある氏だが大磯では初めての個展開催だ。「どのような評価をしていただくのか楽しみでもあり不安。複雑な心境です」と話す口調は作品同様に優しい。個展は11月29日(火)までギャラリーさざれ石(大磯町役場近く)でおこなわれている。
○…1952年佐賀県生まれ。子どもの頃は勉強、スポーツなんでもこなす少年だったとか。「一つを極めるタイプではなかったです」と少し恥ずかしそう。熊本高校、早稲田大学を卒業。大学では当初ジャズ研究会に所属、ベースを担当していた。「やっていくうちに音楽は難しいのが分かって。自分には向いていないと思い辞めました」と話す。その後、美術研究会に入った。これが今の氏を形成する大きな転機となった。研究会で陶芸の面白さを体感した。「グニャグニャの粘土が焼きあがると立派な作品になる。すごいと思いました。しかし、実際にやると思い通りにいかない。難しさゆえに思い通りの作品が出来た時の感動は大きい」と両手を広げる。見識を深めるために美術館や博物館巡りはもちろんインド、トルコ、インドネシア、タイなどにも行った。「様々なものを見てきました。とても勉強になりました」と振り返る。
○…作品は、常に同じものを作らない主義。時間が空いたときはカメラを持って外出するという。自然の風景を撮るのが好き。「写真は平面ならではの面白さがあり、陶芸は立体的な面白さがある。双方に特徴があって魅力的」と話す。朝日陶芸展、金沢工芸大賞展等入選多数。平塚市在住