市職員による街おこし 「湘南ブランドペーパー」を試作
秦野市・平塚市・伊勢原市・大磯町の市役所・町役場に所属する有志の職員たちが、地元の素材を使った紙「湘南ブランドペーパー」の制作を仕事から離れた場で試みている。「つくリングプロジェクト」と題したこの取り組み。まだ試作の段階だが、商品化されれば広域の地域活性化のモデルになる可能性もある。
このプロジェクトは、同じ市外局番「0463」の地域に属する3市2町の市役所・町役場の職員たちが、プライベートな交流を図ろうと結成した「0463会」が母体。同会の交流会の中で、メンバーの1人が「大磯で毎年側溝を詰まらせてしまう蓮の実殻を、何かに活用出来ないか」と話したことが始まりだった。
この発言をきっかけに様々な意見が出された中で、大磯町役場の職員有志が自費で購入しているリサイクル素材の名刺が浮かんだ。「蓮の実殻だけではなく、ゴミとして処理されているものを紙に再生できれば」との結論に至った。
同会から、同じ志を持つ有志14人で「つくリングプロジェクト」を発足。「つくリング」はリングをつくるという意味で、「リング」には「輪」のほか、同じ読みの「和」や、驚きの声の「ワッ」などを掛けている。
メンバーたちの強みは、地元に密着した豊富な情報とフットワークの軽さ。東海大学の原田一郎教授のゼミ研究「湘南地域ブランド創造プロジェクト」の話を聞くと、メンバーは「一緒に何かをできないか」と足を運んだ。原田教授も趣旨に賛同。月に一度行われる会議には学生も参加し、年齢や立場などに関係なく活発な意見交換や提案が行われるようになった。
紆余曲折の末、蓮の実殻のほか秦野市の間伐材、平塚市のバラの剪定枝、大磯町のミカンの皮など、地域の不用品をもとにした試作品の紙が完成。秦野市職員でプロジェクトに参加する上松太一さんは、「ひとつの自治体の職員だけではなく、プライベートとして広域の参加者がいるので、様々な視点から新しい発想が生まれた」と利点を話す。
試作品の完成により、今後は具体的な商品開発や流通などを詰めることになる。プロジェクトの代表を務める秋山修一さんは「紙から比較的簡単にできる名刺や容器などが候補。地域に浸透し、一つのビジネスモデルとして広がれば面白い」と期待を込めた。
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