中学校などで自身の冒険エピソードを子どもたちに伝えている、南矢名在住の本多映太郎さん(41)。6月21日には大根公民館で行われた父の日のイベントで、お父さんの冒険話として北極圏での体験を語った。
披露されたエピソードの舞台は大学4年生の時。卒業前の休みを、グリーンランドの街・シオラパルクで過ごした。滞在は2カ月間。そこは1978年に、世界で初めて北極点へ犬ぞりで単独到達を果たした、植村直己氏が訓練を行っていた土地だ。「行ってみたい」。その強い思いを胸に北極圏を目指した。
近年減少している、完全自給自足の生活をするイヌイット。彼らと共に過ごし、アザラシやカリブーなど野生動物の肉を生で食べ、毛皮を防寒具としてまとった。室内に吊るされたアザラシの肉は、徐々に腐り、独特な匂いをかもし出す。氷点下の匂いの無い世界では、その匂いさえたまらないのだと笑った。
挫折を糧に独学で挑戦
本多さんの冒険譚は大学受験から始まる。高校生の頃はラグビー部で仲間とともに汗を流す、原宿が大好きなファッション系男子。しかし浪人そして志望校ではない大学へ入学することになり、挫折を味わった。「自分に自信が持てるものが欲しい」。その思いが、一人で挑戦する姿勢を作り上げていった。
最初の挑戦は入学前の春休みに参加した、帆船で航海術を訓練するセイルトレーニング。個性豊かな船乗りたちを見て「自由に生きていいんだ」と心を打たれた。その後、夏休みに自転車で北海道1周を果たす。
2年生では、自身の大きな自信となった世界1周の旅へと繰り出した。ロシアの極東地であるウラジオストクから、シベリア鉄道でモスクワへ横断。ベラルーシを通過後、自転車にまたがりポーランド、ドイツ、スイス、イタリアへ。スペインでは当時交際していた夫人・衣織さんと落ち合い、10日間程二人旅を満喫。その後1人アメリカへ渡り、地球を1周した。
冒険には困難が付きものだ。世界1周中には自転車や荷物を丸々盗まれた。「海で泳いでいたので海パン一丁ですよ」と笑う。北極圏に向かう際には、空軍基地を通過するためデンマーク政府と直接交渉するなど準備に苦労を重ねた。だがアルバイトで稼いだ資金を手に、独学で野営術を身につけ、1人でやり遂げた旅は大きな自信となった。
現在は会社勤めで、3人の子どもの父親。今は家族の時間が大切だが、子どもが自立した後はまた旅へ出る予定だ。目標はロシアを自転車で横断。「実現するのは一筋縄ではいかないが、諦めず夢を持ってほしい」。若い世代へ、思いを語った。
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