秦野市堀山下にある香窯(こうがま)陶芸工房のギャラリー大倉で7月15日〜18日、辻憲昌(のりまさ)さん(73)=堀山下在住=が9回目の個展を開いた。限られた空間にみずみずしい生命力を表現した盆栽や、それを支える盆器は辻さんが制作したものだ。
辻さんの作品は、都内などで流行っている直径2cm未満のミニ盆栽から、直径40cmの大きな盆器まで様々。手びねりの荒々しさを生かした器や、独特の曲線にこだわった木瓜(もっこう)型の器、苔玉用の平たいものもある。そこに、ハリガネカズラやアカマツの盆栽、ベニチガヤやシダ類が寄せられた苔玉などが絶妙なバランスで表現されている。
「もともと植物が好きだった」という辻さん。20代で盆栽に興味を持ち始め、次第に自ら制作するように。職場が小田原近辺だった事から、20年前から小田原盆栽愛好会で役員等を歴任。その縁から、小田原フラワーガーデンでの多肉植物講習会や、介護者の日々の疲れを癒す目的で企画された老人ホームでの盆栽講習会で講師を担ってきた。
陶芸を始めたのは15年前。育てている盆栽を「自分で作った器に植えたい」という思いが強くなり、香窯陶芸工房で基礎を学んだ。その後、自宅に窯を構え、焼き上がりを追求。盆栽の師匠、山北松月園の松田恭治園主の助言から、外に張り出す器の足が自作の特徴となった。辻さんは「薪窯の焼締め作品のようにしっとりとした表面が理想。自分の持つ電気やガスの窯でも面白い風合いが出るよう籾殻を一緒に入れるなど研究している」と語る。
今年の展示会では300人以上が来場。評判が人づてに伝わり、回を重ねるごとに横浜や平塚などから足を運ぶ人も増えたという。
香窯陶芸工房の出縄由里香さんは「盆栽と盆器どちらも手掛ける方は珍しい。焼きで形の崩れた作品も、辻さんに山野草などを植えてもらうと、生き返って自然になる。それに驚きます」と話した。
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