11月6日、秦野市の菩提会館に保管されている江戸・明治時代の古文書や地図の虫干しが行われた。100年以上続くと言われる、地元の恒例行事だ。
虫干しは毎年、空気が乾燥し始め天候も比較的安定する11月初めに行われる。資料を会館内に広げ、数時間窓からの風に当てる。
古文書は約150冊、地図は9枚ほど。代々、地元の人々に受け継がれ、現在は菩提自治会連合会(古谷勝二会長)と菩提生産森林組合(高梨照雄組合長)の役員らが管理している。
古文書には、当時の土地の使われ方や村の様子などが記録されている。その1つ、1835年(天保6年)に書かれた「地誌御調書上帳」には、米倉丹後守の領分だった当時の相模国大住郡・菩提村の規模、世帯数、地理等が記録されている。
地図は、自治会が菩提全体の大地図を2枚と山間部の地図を1枚、生産森林組合が山間部のものを6枚ほど保有している。資料からは、葛葉川が「菩提川」と呼ばれていたこと、現在の菩提駐在所付近に役場や十王堂が置かれていたことなどが読み取れる。
修復は住民の手で
古文書や地図は古いもので300年以上前に作成されており、部分的に虫に食われてしまっていたり、しわが寄って解読しにくくなっていたり劣化が進むものもあった。役員から心配する声が上がり、自治会の限られた予算の中、自分たちで修復することにした。
2014年は5月〜9月にかけて、4回に渡り古文書を修復した。1枚ずつ霧吹きで水をかけ、アイロンでしわを伸ばし、それを新しい半紙にのりで貼って、1冊に製本し直した。参加した自治会役員の古谷信行さんは「当初は心配したが、昔の紙や墨は強く、全くにじまず感心した」と修復作業を楽しそうに振り返る。
4回目の作業の際、それまでまとめて虫干しをしていた封筒の中に入っていた紙の束が、地図を分割したものであることが判明。保存状態が悪かったことから2015年の12月に地図の修復作業を行った。
分割された地図は1枚が半紙大で、計78枚。パズルのように繋ぎ合わせていくと、6畳大の1つの地図に。保管してきたものの中では2番目に大きな地図だった。
歴史を次世代へ
古文書は、虫干しの日以外は同館の金庫に保管されているため、役員になるまで地元に古文書が保管されていることを知らない地元住民も多いという。
古谷会長は「虫干しは、次世代へ古文書の存在を伝える儀式にもなっている。今後は、役員以外の人たちにも虫干しの様子を見てもらえるよう検討したい」と話している。
菩提地区では現在、新東名高速道路の建設が進んでおり、今後地元の土地の使われ方が大きく変化していくことが予想される。同自治会連合会では、古文書や大地図の保存に加え、現在の土地の使われ方などについて記録し、後世へ残すことも視野に入れている。
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