厚生労働省が9月26日に発表した、全国の再編・統合の検討を求めた公立・公的病院の中に、秦野市内の秦野赤十字病院と国立病院機構神奈川病院の2病院が含まれていたことが波紋を広げている。
国は「2020年までに対策示せ」
厚労省の公表に、名指しされた神奈川病院と秦野赤十字病院はもちろん、県や地元自治体の秦野市も困惑を隠せない。
厚労省では、地域医療構想に関するワーキンググループが、診療実績や近隣に機能を代替えできる病院があるかどうかなどに関して調査を行い、その結果全国の公立・公的病院の中から再編・統合に向けた議論が必要だとした424病院を公表。各都道府県に対し、2020年9月までに対策を示すよう求めているとされる。
神奈川県内では10の病院に対して議論が必要とされ、その中に秦野市内の2つの病院が含まれていたことが明らかとなったため、市民の間でその維持・存続を心配する声があがっている。
国の調査は2年前のもの
神奈川県では2015年4月に施行された医療法の規定に基づき、2025年のあるべき医療提供体制の構築に向けた長期的な取り組みの方向性を示す「神奈川県地域医療構想」を策定。県内を9区域に分け、それぞれの地域で「地域医療構想調整会議」を設置。秦野市を含む「湘南西部地区」も、医師会などの医療関係者や地元自治体などを交え、これまでに今後の地域医療の在り方などについて協議を続けてきた。
今回の発表に対し県は、厚労省の調査が2017年度の調査であることを指摘。細かいデータが明らかにされていないとしながらも、「この結果は2年前の調査を元にしたもの。状況も変化している」と話す。また、「国が一律に調査したもので、実態が加味されていない。県民の安心・安全を損なうことはできない。地域と共にしっかり議論を重ねていきたい」と話した。
自治体も地域の実情伝え医療の充実確保へ
秦野市も今回の厚労省の発表に首をかしげる。「秦野赤十字病院と神奈川病院は、市民の医療の中核を担う重要な役割を負っている。市として地域の医療はしっかりと守っていく。そのために地域の実情を、調整会議の場で強く訴えたい」と市の担当者は主張する。両病院と連携を図りながら「将来地域医療の充実につながるようなきっかけとしたい」と続けた。
「引き続き地域にしっかり医療を提供していく」
神奈川病院では今回の公表を受け「突然の報道で驚いている。病院の実績を調整会議の場でしっかり説明する。秦野市域で必要とされる医療を、これからも引き続き提供していく」と話す。
秦野赤十字病院も「不必要な診療科があるとは全く考えていない。以前は320床全てが急性期だったが、2年前からそのうち46床を、入院療養を継続しながら在宅復帰に向けた準備をするための地域包括ケア病棟に充てるなど、ニーズに合わせて改革してきた」と主張する。市民病院的な役割を担っていることに加え災害に対処する存在であることも含め、「今後市と協力しながら調整会議の場に出向き、存在の重要性を訴えていきたい」と話した。
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