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秦野版 公開:2011年9月17日 エリアトップへ

はだのっ子 いま・みらい 教育寄稿第34回 恥を知る心を持とう 内藤 美彦

公開:2011年9月17日

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 ズボンを腰の下までさげてお尻が見えるようにしている高校生、電車の中でお化粧をしている若い女性などに出合います。彼らは、それを恥ずかしいと思わないのでしょう。また、責任をとらなくても平気な「恥知らず」の政治家もいる昨今です。恥ずかしい筈のことを、少しも恥と感じない人が増えているように感じます。

人間が「痛い」と感じるのは、自分の身を守る警告だそうです。痛いと感じないと傷を深めてしまいます。「恥ずかしい」のも同じ警告信号だという考えがあります。つまり、人と違う変わった行動をすると顰蹙を買い、周囲から疎外されるので、そういった行動はしないようにするのです。

 「恥じらい」は、日本人の美徳のひとつともいいます。それに対して「恥じらい」は常に周囲を気にしているから生じるもので、自分に自信がなく、日本人の自立性欠如の証拠だと反論する人もいます。周りの人を無視していれば、自分のことは何も気になりません。恥という警告信号は、周囲をどう捉えるかで生まれてくるもののようです。

 ビルマ(現在ミャンマー)の捕虜収容所の生活を書いた「アーロン収容所」で筆者会田雄次(当時捕虜)はイギリス人の日本人を見る目を憤慨して述べていました。それは、女兵舎の掃除に行った時、部屋で全裸になって髪を梳かしていたのだそうです。白人が入っていったなら、恥ずかしくて大声を出したでしょうが、日本人と分かると平然と、たばこを吸い始めました。自分を人間と思わない態度に腹を立てたわけです。

 「旅の恥はかき捨て」という諺があります。旅先では自分を知っている人もいないし、何をやってもその場かぎりで済むということでしょう。ところが、知らない人にどんなことで世話になったり、援助を受けたりするか分かりません。無関係と思っている人も「袖振り合うも他生の縁」と言うように、何かと繋がりがあるのです。人との繋がりを考える時、人が嫌がることや不愉快になることは、控えるべきでしょう。

 自分のことしか頭にない生き方が、恥を感じる心を鈍感にしていると思います。他の人の思いを察する心を育て、適切な対応ができる姿勢を養いたいものです。

■プロフィール

横浜国立大学卒業。秦野市立小学校教諭。秦野市立本町小学校校長。秦野市教育委員会教育長を歴任。
 

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