ミュージックブレイク！ 岡本暁子（ピアニスト）第4回目「イタリアの思い出【2】」
前回からの続きです。第２次世界大戦の時に埋められた地雷の為、止まってしまったユーロスター・イタリア（高速列車）は一向に動く気配はありません。車内のアナウンスもほとんどなくなり、心配はピークになりました。そんな中、隣に座っていた初老の紳士が、私の持っていた６カ国語辞典を使って、愉快に話しかけてくれました。そのお陰で、不安な気持ちが段々和らいでいくようでした。
数時間後「地雷が無事撤去された」とのアナウンスがあると車内は「ブラボー」の嵐！再び動き始めた電車は、のろのろと徐行運転を続け、私は途中から予定していなかった各駅停車を乗り継ぎ、夜中の３時にやっと目的地に着くことが出来ました。数時間の間、駅で待っていてくださったホストファミリーの方が声をかけてくれた時は、安堵感と感謝の思いでいっぱいになりました。初めて訪れた国で出会ったハプニングのお陰で、触れること、感じることが出来たイタリア人の温かさ、明るさは、数年たった今も忘れられません。長い一日でしたが、大切な思い出の日となりました。
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