フォルクローレの演奏家で西田原在住の木下尊惇(たかあつ)さんが、計画的避難区域に指定されている福島県川俣町山木屋地区の小学5年生との交流を通じ、総合学習として現地で子どもたちと一緒にCDを制作し、コンサートを行う「山木屋の『わ』」プロジェクトに取り組んでいる。
福島県川俣町が1975年からフォルクローレの音楽祭を開催していることが縁になり、同地域を訪れることが多い木下さん。「ガレキの片付けでも何でも、自分にできることはないか」と、昨年6月東北地方を巡った途中に福島県を訪問した。その際、川俣町の山木屋小・中学生を対象にコンサートを開催。川俣町では14年前から小学校の授業でアンデスの縦笛「ケーナ」を取り入れており、この日は一部の子どもたちとの合奏も行うなど、コンサートは盛り上がりをみせた。
総合学習で「先生」に
その後同小学校の児童から届いたお礼の手紙の中に、子どもたちが総合学習のテーマにフォルクローレを選んだこと、機会があればいろいろと教えて欲しいことなどが記されていた。この取り組みに協力することを決めた木下さんは、7月5日に再び同校5年生に「民族音楽について」「衣装・楽器の作り方」というテーマで授業を行った。その中で児童らに対し、次の授業までに詩をつくっておく「宿題」を出した。
第2回目となる授業は「みんなで歌を作りたい」というテーマで、9月20日に実施された。子どもたちがつくってきた詩の中から、共通するキーワードなどを抽出しながら要約し、「輪」と「和」という言葉をかけて「わ」という曲を作り上げた。木下さんは「音符は一切使わないで作曲したのが子どもたちにとって印象的なようでした。歌をつくることは簡単と思ってもらえたのでは」とその時の様子を話す。
集大成としてCDを制作
その後、3月まで続く今年度の総合学習の集大成としてこの山木屋の「わ」のCD制作を思い立った。現在子どもたちはジャケットのデザインを勉強しているという。レコーディングをはじめ、CD制作を通して、自分たちの手で何でも作り上げられることと同時に、プロの仕事の凄さを感じてもらうのも目的のひとつという。CDの完成に合わせて川俣町で記念コンサートを開催する予定だという。「子どもたちの避難生活はまだまだ続きそうですが、子どもたちが作った曲、こどもたちが歌う歌は、未来に向け、復興に向けて、とても大きな力になると確信しています」と木下さんは、力強く話した。
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