市立南小学校(森基夫校長)で4月9日、同校の元教師で、同期仲間だった川名富士子さん(秦野市・81)、小野悦子さん(藤沢市・81)、三竹和子さん(川崎市・81)が約60年ぶりに3人揃って同校を訪れ、満開の桜の木の下で思い出話に花を咲かせた。
教師不足だった戦後間もない1949年4月、川名さん、小野さん、三竹さんが南小学校の教師に採用された。偶然にも皆同い年で、「3人娘」としてすぐに親しくなったという。その当時は、教科書こそあったものの、授業で使う資料や児童に配るプリント等は全て教師の手作りだった。「模造紙を広げて、夜中までかかって翌日の資料を作ったのよね」と川名さん。「何枚も何枚もガリ版で算数の問題を刷ったわね」と話しは尽きない。
子どもたちと一緒に走り回った校庭には、今と変わらず児童を見守る桜があった。3人は「貧しい教育界だったけれど、この桜のおかげで心はいつも豊かだった。南小の誇りです」と口を揃える。
一緒に勤務した期間は3年ほどだったが、その後も親交は途絶えることなく、南小OB会などを通して数年に1度は顔を合わせていた。しかし、南小に集まることは無かったという。3人がそれぞれの人生を過ごし、出会いから60年経った今年、川名さんが「南小の桜を見にいきませんか」と呼びかけた。60年前と変わらずきれいな花を咲かせる桜を見て、「本当に胸がいっぱい。今日は幸せです」と涙ぐむ場面もあった。
昔と変わらない「先生の眼差し」で優しく見つめるその先には、子どもたちがグラウンドでいきいきとした顔で授業を受けている。「子どもたちはいつの時代も宝です。この学び舎で得たものを忘れないでほしいですね」と話した。
南小恒例のお花見給食
川名さん、小野さん、三竹さんが南小を訪れた日、恒例のお花見給食が同校グラウンドの桜の木の下で開催された。
当日は穏やかな気候に恵まれ、絶好のお花見日和に。1078人の全校児童は、自宅から持参したレジャーシートを広げ、南小バーガーなどの特別給食をほおばった。
校庭中央にある2本のソメイヨシノは、同校が開校した1892年に植えられたもので、今年で樹齢120年を迎えた。1971年に市の天然記念物に、1984年に「かながわの名木100選」に選ばれている。
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