熱中症2年ぶりに減少 救急搬送全体は増加傾向
秦野市消防本部では今年5月28日から8月31日までに、熱中症患者26人を救急搬送した。この人数は、過去最高の猛暑と言われ5月末から10月頭にかけ79人の搬送者数を出した昨年の半数以下。秦野市の熱中症患者搬送数の減少は2年ぶりになる。
熱中症搬送のピークは、梅雨が明け気温が急激に高まる7月後半から8月にかけてと言われる。しかし、昨年と今年を比較し、気温自体に大きな違いはないという。昨年8月の平均気温26・3度に対し、今年8月の平均気温は26・8度だった。
減少の理由を同本部警防対策課は「新聞やテレビなど熱中症の注意喚起が広く行われている。市民の方の対策意識が高まっているあらわれでは」と分析する。
熱中症2年ぶりに減少
救急搬送全体は増加傾向
熱中症搬送は減少したものの、市内の救急搬送者数全体は増加している。
昨年1月1日から8月31日までの救急出動件数が4666件だったのに対して、今年の同期間は76件増の4742件。市消防本部警防対策課では「統計が残る1968年以来、過去最多だった昨年の年間出動件数(7090件)を上回るペース」と警鐘を鳴らす。
同課は、件数の増加理由を高齢化社会の影響と分析する。搬送者のうち、65歳以上の高齢者の割合は年々増え続け、昨年は49・6%とおよそ半数を占めた。さらにそのうちの66・5%は75歳以上の後期高齢者。特に多い搬送理由は、肺炎などの呼吸器系だという。独居老人の搬送数も増加しており、同課では「家族や地域の見守りも大切」と話す。
また、救急車の利用について「台数も限られており適正利用を」と呼びかける一方で「安易に呼ぶことと大事を持って呼ぶことは異なる。軽症だから呼ばなくていいとは一概に言えない」と話す。特に、頭痛や手足のしびれ、めまいは脳卒中の初期症状の可能性もあり、注意が必要だという。
診断名が判明している急病搬送のうち、最も多いのが脳疾患・心疾患を含む循環器系であり、これらはどの症状が重症に結びつくのか判断が難しい。
消防本部や各消防署は、訓練は受けていても医療の専門機関ではないため、実際の現場でも症状を把握しきれないケースがある。同課では、兆候と病名の報告など医療機関との情報共有の方法を模索しており、「一人でも多くの市民の命を救うために、今後も努力を続けたい」と話す。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>