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秦野版 公開:2014年1月11日 エリアトップへ

「12年生きる」決意の彫刻 悪性リンパ腫患う西巻氏

公開:2014年1月11日

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彫刻家の西巻さん
彫刻家の西巻さん

 石を素材とする彫刻家の西巻一彦さん(54)が制作した今年の干支である午の彫刻が昨年の年末、出雲大社相模分祠(草山清和宮司)の鳥居の下に置かれた。西巻さんは2011年に悪性リンパ腫を患い、現在再発のリスクと向き合いながら制作活動を続けている。

 この干支の彫刻は同神社が西巻さんに制作を依頼したもの。秦野駅前のまほろば大橋や鶴巻温泉駅北口、渋沢駅南口など市内の公共の場の作品を数多く手掛ける西巻さんが病を患っていることを知った草山宮司が、「まだまだ元気で作品を作り続け欲しい」と一年に一つずつ干支の彫刻を作ることを頼んだ。当初自身の体を考慮しためらった西巻さんだったが、「将来に向かい歩みだし、彫刻を掘り続けることで、自ら元気になれるのでは。12年やり抜くという意思を全うしたい」と受諾。「同じようにがんなどの病気で苦しむ人に、少しでも元気や勇気を与えられたら」と話す。

 今年の干支である午の彫刻の素材となる本小松石は、自ら真鶴に出向いて探した。約1カ月をかけノミとハンマーで削り出す。「今回の作品は埴輪からヒントを得た。優しい表情を持たせながらも守り神としての存在感を持たせたかった」とイメージを説明する。

作品を通じて生きることを表現

 西巻さんが体調の変化に気づいたのは東日本大震災の頃。耳が聞こえ難くなり、肩が痛くなった。当時は両親の介護などもあり、また震災被災者支援のためのチャリティ作品の制作活動を続け、病院に足を運ぶことはなかった。しかしその間も体調は悪化するばかり。病院を受診すると「悪性リンパ腫のステージ3。全身に病気が広がっている」との診断。目の前が真っ暗になった。

 その後8クール、およそ半年間に及ぶ辛い抗がん剤治療に耐え、今では症状がおちついて安定した状態が続いている。再発のリスクと向き合いながら制作活動を続ける西巻さん。病気になって人生とは何か、生きるとは何かを考えるようになったという。「周囲に支えられ、生きる目標として展覧会の場もいただけるので、彫刻家として作品を通して自分なりに感じた、生きるということを表現していきたい。人間明日のことは分からない。明日を迎えるために今日を、そして今を一生懸命生きたい」と力強く話した。
 

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