雄大な自然の中で描かれる、家族の絆。『沢のぼり』と題した映画のメガホンを取ったのは、秦野市出身の石田晴花さん。日本映画大学(川崎市)の卒業制作として、地元・秦野の自然を生かした作品を作り上げた。
卒業制作は4年間の集大成として、1年間かけて作り上げる。脚本は選考と学生投票によって公募50本の中から3本が選出。石田さんは「絶対に監督をしたい」という強い気持ちで1年以上前から脚本作りを始め、見事思いを叶えた。
作品は「家族愛」がテーマの30分間のストーリー。中学3年生の主人公・大地が、父の死後、母や妹弟との暮らしの中で不安や苛立ちを抱きながらも、家族を守りたいという思いを強め、成長していく姿が描かれている。
撮影は沢登りコースとして親しまれている塔ノ岳からのびる水無川本谷など、秦野市内を中心に行われた。クライマックスは、父との思い出の場所である「沢」のシーン。場所は水無川本谷の滝「F1」。響き渡る滝の轟音や青々とした樹々の緑の中、一心不乱に沢を駆け登る主人公や兄弟が感情をぶつけ合うシーンなど、ダイナミックで美しい自然と子どもたちの体当たりの演技が見どころだ。
この物語は、石田さんの実体験が元になっている。大学2年生の時、最愛の父が他界。揺れ動く心と、その中で形成された家族観が映画に反映されているという。戸川の実家は川にほど近く、2人の妹とともに親子で魚釣りや水遊びもした。沢のぼりでは、父親から「諦めるな」と励まされ背中を支えてもらいながら夢中で登った記憶が今も残っている。
石田さんが映画作りで大切にしたのは、「自然に見えること」。本当の兄弟のようなリアリティを出すため、撮影前に遊んで和気あいあいとした場を作ることもあった。いざカメラを前に演技をしてもらうと、脚本で考えていたより不自然に見えるなど、苦労も多かった。特に中学生の男の子の気持ちを思い描くのは難しく、何度もスタッフらと議論を重ねたという。
石田さんは「緑豊かな丹沢の山々や澄み切った美味しい水、秦野の美しさをずっと残しておける作品になったと思う。秦野の皆さんにも見てもらえたら」と話した。
作品は2月11日(土)、12日(日)にイオンシネマ新百合ヶ丘で上映される(無料・要申し込み)。他作品とセットで上映するブロック式で、ブロック完全入替制。申し込みはHP(「日本映画大学」で検索)から。
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