老朽化に伴い建て替えられた鶴巻上部自治会館の完成にあわせ、岩田俊一さん(92・鶴巻在住)が地元の歴史をまとめた『鶴巻上部の一五〇年前〜観音堂が廃堂になったころ』を上梓した。
執筆のきっかけは2016年の秋頃。老朽化に伴い鶴巻上部自治会館の今後について検討していくなか、地権者であった岩田さんが自治会に土地の提供を申し出たことを機に、自治会員からの寄付を募って会館を建て替えることが決まった。鶴巻上部自治会の北村実会長(68)から「落成式の折には一言挨拶をお願いしたい」と言われた岩田さんは、「せっかくなら、郷土の歴史や出来事を後の時代まで記憶に残してもらいたい」と原稿を執筆。北村会長に相談し、落成式にあわせて記念品として配ることにしたという。
岩田さんは落幡と呼ばれていた鶴巻地区で生まれ育ち、応用昆虫学を専門とする農学博士として研究にまい進。1986年に農林水産省農業環境技術研究所を退職したあとは、地元の歴史や先祖の足跡などを研究している。
岩田さんの家は先祖代々落幡に暮らす旧家で、自宅には古文書なども残されていた。秦野市が行った市史編纂事業にも多く資料を提供しており、今回の執筆にあたっては『秦野市史』や、今も自宅に残る曾祖父のメモなどを参考にしたという。
同書では、会館が建っている場所にかつて存在していた観音堂が廃堂になったおよそ150年前の出来事が綴られている。この観音堂に収められていた仏像は、現在は極楽寺(鶴巻1861)にある木造十一面観音菩薩立像で、秦野市の重要文化財にも指定されているものだ。「岩田さんがまとめてくれなければ、地元でも知らない人が多かったはず」と北村会長。「落幡の歴史を伝えられれば」と岩田さんは話した。
同書は昨年12月1日に行われた落成式で配られたほか、会館建設費用の寄付者に配布されたという。
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