自然観察施設くずはの家(秦野市曽屋1137)が今月、20周年を迎えた。同施設は自然保護活動の拠点として「かながわのナショナル・トラスト」緑地指定第1号の葛葉緑地の中に1998年4月に開設された。
「葛葉川ふるさと峡谷」(通称・葛葉緑地)は、秦野市曽屋の住宅地内にある葛葉川周辺の緑地で、1987年、県内の失われゆく緑地の保存に取り組む「かながわのナショナル・トラスト」の第1号に指定された。当時、北西には既にくずは台団地(東田原)があり、現在くずはの家があるくずはの広場の辺りは耕作地として利用されていたが、傾斜が急な河岸の周辺には蛇行する葛葉川の流れに沿うように未開発の緑地が残っていたという。葛葉緑地は0・66haが県によって買入され、5・77haは土地所有者と(公財)かながわトラストみどり財団の間で緑地保全契約が結ばれ保存された。
また、秦野市は1985年4月に環境庁から「快適環境整備計画」策定地域に指定されたことから「秦野アメニティ・タウン計画」を策定し、その一事業として1986年に「葛葉川ふるさと峡谷整備事業」を立ち上げた。市はくずはの広場の中央ゾーンの土地を購入。市民が自然とふれあい散策できる憩いの場として、くずはの吊り橋や園路の整備、植栽等が行われ1998年に景観に配慮した丸太造りの「くずはの家」が完成した。
市街地の「自然の宝庫」を守る
くずはの家には動植物の標本や生き物に関する資料が充実し、観察方法や自然保護について学ぶ事ができる。自然観察指導員養成講座のほか、小学生や未就学児を対象にした「はだのエコスクール」の環境教育も行われている。
また、ボランティアの協力を得て葛葉緑地の動植物の調査・研究・保全を行っており、これまで高橋孝洋所長が自ら発光生物のホタルミミズ(市内初)などを発見したほか、現在国内で問題視されている外来種ムネアカハラビロカマキリの調査も行われた。
12年前、繁殖力が非常に強い外来種ワルナスビが繁殖した際には駆除に関して職員が知恵を出し合い、ガラパゴスで用いられていた方法を導入してほぼ除去するに至ったという。
20年前から月に一度発行されてきた葛葉川ふるさと峡谷だより「くずは」には、くずはの家の活動や自然の状況、その時期にみられる緑地内の生き物について詳しく記録されている。
高橋所長は「それぞれのスタッフに得意分野があり、活動の幅が広がってきた。今後もふるさとの自然を守る心を育てていきたい」と話す。
20周年特別展
今年度も子どもたちに人気の夏休み自然教室や星空や生物の観察会を実施するほか、20周年記念特別展示として8月に「阿木二郎さんのポスターでたどるくずはの家の20年」を開催。市内在住の漫画家・阿木さんが手がけてきた同施設の催しのポスターを宮永岳彦記念美術館に展示する。
また、記念展示や冊子作成のため2008年以前にくずはの広場周辺で撮影された写真を募集中。現物かデータ媒体を4月21日(土)までにくずはの家へ持参。問い合わせは同施設【電話】0463・84・7874へ。
秦野版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>