多摩市が2017年度以降に統合・廃止の方針を打ち出している東寺方複合館。同施設の存続を求め、地域住民や自治会で結成された「東寺方複合館の存続を考える会」(齊藤仁代表)の結成1周年経過報告会が11月23日、東寺方市民ホールで開催された。同会では、これまで署名活動等を行い市に存続を訴えてきたが、今後も継続して活動を行っていく意向だ。
東寺方複合館は、図書館、児童館、老人福祉館、地区市民ホールが一体となった複合施設で、1981年に開館。以来、地域住民の憩いの場、多世代間の交流の場として利用されてきた。
多摩市では、老朽化を迎えた公共施設の大規模改修等による更新費用が行財政に与える影響が大きいことに加え、今後の人口減少や急速な高齢化などを鑑み、将来への負担を先送りすることなく安心して暮らし続けるまちをめざすため、「量から質」への転換が必要との考えから、2013年に「公共施設の見直し方針と行動プログラム」を策定し、取り組みを行っている。
その中で、市は当初、東寺方複合館に関わるところでは「地域図書館は本館と、駅に近い比較的大きな拠点館2館の計3館に集約する」「(仮称)和田・東寺方コミュニティセンター内に児童館機能を整備し、平成29年度に愛宕児童館とともに統合の上、廃止」「地区市民ホール及び老人福祉館は(同)コミュニティセンターに統合」との考えを打ち出していた。
陳情などの活動
そうした市の意向に、東寺方地区の住民は「多世代が交流できる場で、多くの利用者がいるのに廃止は納得できない」といった声をもとに、2014年8月に「図書館の存続を求める陳情」を市に提出。継続的な活動を行うため、地域の自治会と一緒になって同11月に「東寺方複合館の存続を考える会」を発足し、「複合館の存続を求める陳情」を行ったり、地域で5030筆の署名を集めて市に提出したりする他、市長、市議会議員と対話集会や懇談会を開くなどの活動を行ってきた。また東寺方地区と同じように複合館や図書館が廃止・統合される豊ヶ丘、聖ヶ丘、唐木田地区と情報交換を行い、共同で存続を求める活動も行っている。
それを受けて、市は今年6月末の時点で図書館については「今後の在り方について行動プログラムの更新に合わせ検討していく考え」としているものの、他の施設については統合・廃止の考えのまま。一方で、市民や利用者と一緒になって考え、2016年度に「行動プログラム」を更新する予定だという。
「他の地区と一緒に存続求める」
この日行われた1周年経過報告会では、これまでの活動や市の対応などについて、会場に集まった地域住民約50人に向けて報告を行った。参加した住民からは「高齢者と子どもが交流できる施設。お金には換えられない存在価値がある。守るだけでなく、その存在価値を打ち出し、前向きな内容を盛り込んで申し立てを」などといった今後に向けた意見が挙がった。
東寺方自治会の藤井富男会長は「公共施設の見直しが必要なのはわかる。老朽化が問題なら他の考え方もある。この施設は利用者が多い。多摩市の自治基本条例に『市民の意思に基づき』とあるので、市は財政ありきではなく、市民の声にもっと耳を傾けてもらいたい」と話す。同会の齊藤代表は「報告会で地域の皆さんから出た意見を参考に、今後会としてできることについて検討を重ねていきたい。時間的な余裕はないが、同様の問題を抱える他の地区の団体と一緒に、地元自治会、議員と相談しながら、存続のための運動につなげていきたい」と話している。
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