商店街活性に「御用聞き」 久里浜の商店主らが事業化
買い物に出掛けることが困難な高齢者に向けた宅配サービスの導入を久里浜商店街が計画している。自宅を訪れ、商品注文と配送を行う「御用聞き」の仕組みを商圏の中で確立することをめざす。高齢化が顕著で高台などにある住宅街をモデル地区に選定し、早ければ5月の連休明けを目途にスタートさせる意向だ。
高齢化の進展と商店街の衰退などが相まって、買い物に苦労するいわゆる”買い物弱者”と呼ばれる世帯の増加が全国的に危惧されている。
横須賀市でも75歳以上のみの世帯数が、平成22年のおよそ2万世帯から平成32年には3万世帯近くに達すると推計しており、対策が必要となっている。
久里浜商店街では市内で活動している公認会計士からの提案を受けて御用聞き事業を具体化させる。「現代版 三河屋」と銘打ったビジネスモデルで、ネット販売や既存の食品宅配サービスを十分に活用できない高齢者宅を注文の有無にかかわらず定期的に訪問するルートを設け、地域住民の利便性を向上させながらビジネスとしての成立をめざす。安否確認などの役割も担う。
同事業では、商店街をまるごとバックヤードとし、注文宅に商品を提供することを想定。在庫していない商材も周辺エリアの店舗やネット販売で代理購入して届ける。
顔見知りの店員が定期的に訪れることで信頼関係を築き、生活必需品にとどまらない商材の提供も視野に入れる。事業参画を表明している湘南信用金庫久里浜支店では、若手職員が配達員のひとりとして地域を巡回し、年金相談なども行うという。
「現代版 三河屋」の発案者 高梨喜裕さん
三浦市で両親が営む酒屋には、手押し車を引いて買い物に訪れるおばあちゃんがいる。「もしも店が存続できなくなったら、彼女は買い物難民になってしまうだろう─」。高齢者の買い物支援と個人商店の生き残り。2つの実現を思い描いたときに頭に浮かんだのがこの事業だった。ネット販売や食品の宅配サービスは、大手を中心にすでに確立されているが「注文がなくても定期巡回する仕組みがこの事業のミソ」と熱弁を振るう。「御用聞きをしながら安否確認を行うほか、常に接点を持つことで広がるビジネスチャンスがある」
扱っていない商品をネット販売で代理購入して届けることも想定。『現代版〜』と銘打ったのはそのためだ。今回の久里浜を皮切りに、横須賀市内でいくつかのモデルケースを立ち上げることも考えている。同事業は昨年度、横須賀市のビジネスオーディションで社会的意義などが評価され入選を果たした。大滝町にある税理士事務所に勤務する公認会計士で税理士。35歳。
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